フェイク・ニュース

グローバル化がどんどんと勢いを増す中、その片棒を担ぐメディアも大きく変わってきたように思います。全てのメディアとは言いません。しかし少なくない数のメディアが、あることないことを過大に主張したり、誇張したりしております。ジャーナリズムの本質を忘れてしまったかのように思います。事実を捻じ曲げたり、嘘の出来事をでっち上げたりと、信じられないような有り様です。

そんな中、ある一人の政治家が大革命を起こしました。たった数文字の言葉で、メディア界の腐敗ぶりを批判したのです。トランプ大統領による「フェイク・ニュース」という発言です。こんなにもわかりやすくイメージを想起させる言葉はありません。彼はまさに、メディアの中でも特に米国メディアの醜く、汚い本性を一語でまとめたわけです。

天才的なひらめきだと思います。日本の国民にも簡単なカタカナがサーッと入ってきました。日本人の多くもマスコミに対して強い不信感を抱くようになりました。「彼らは本当のことを言っているのかどうか」「権力にへつらっているのではないか」など、そんな目で情報に接するようになってきたのです。

ツイッターを使う大統領

トランプさんが問題視していたのは、情報やメディア界の圧倒的な偏りです。世界中のマスコミが、俗にいう左よりにサーっと流れてしまって、右寄り、すなわち保守側がメタメタに叩かれました。叩くだけではありません。先ほども述べましたが、あることないことをやりたい放題書き立てて、トランプ陣営を攻撃したのです。

そこでトランプさんは記者会見を行わず、自分のツイッターで情報発信することを試みました。理由は明らかです。記者会見をして、記者たちとテレビ局でお話をして、いざテレビを見ると、話したこととは全く別なストーリーが出来ているからです。彼が言っていないことが報道されたり、また言ったことであっても曲解されたりして、彼が不利になるような形でニュースが流れていました。

そんなことがあり、トランプさんは自分のツイッターを使い始めたのです。「大統領がツイッターを使うなんてどうなのだろう」と大きな議論になりましたし、痛烈な批判もありました。しかし彼はびくともせずに使い続けました。

健全なメディアとは

米国ではトランプさんがツイッターを使い始めたことで、大手有名メディアが戦々恐々としている状況です。フェイク・ニュースを流せなくなったからです。皆さん、CNNという有名メディアをご存知でしょう。トランプさんが出てくる前は視聴率でトップだったのですが、現在は米メディア界の底辺です。彼に「フェイク・ニュース」とやられて、CNNを見ていた人たちが離れていったのです。

健全なメディアの形とはいかなるものでしょう。アメリカでのことを対岸の火事と捉えず、日本の現状をじっくり考えてほしい。皆さん、日本のテレビを見られたら分かりますけれども、朝から晩まで、視聴率取り合戦のような状況が続いています。私はショックです。こんな状況下で、若いお兄さん、お姉さんたちは世界のことを知っていけるのだろうか。批判的に考えたり、自分で考えたりする人に育っていくのだろうか。

政権を表立って批判するマスコミもほとんどありません。支持する番組があるのだったら、批判する番組もあっていいじゃないか。私はそう考えるのです。皆さん、今の自民党や安倍政権に対してきついことを真正面から言っているマスコミはありますか。そんなことをしたら叱られるとか、放映権を失うとか、そんなことを恐れているのでしょう。権力側を見ながら報道内容を作っているのです。

西鋭夫のフーヴァーレポート
第三次世界大戦の予兆（2019年６月上旬号）-2