検定
日本が占領されていた時代は、教科書の「検定」ではなく「検閲」でした。では、現代の日本はどうなのか。「検定」と称して「検閲」をしているのではないか。
問題は、誰が、どういった資格で、教科書を検定しているのかということです。この部分はほとんど知られていないと思います。もちろん制度上は、専門的な学識や経験を有する調査官が文章チェックを担当し、学識経験者等からなる教科用図書のための審議会が審議する仕組みになっております。
そしてなぜこんなことをするのか、という点については教育水準の維持や内容の適当性、中立性などを保つことが主な目的でしょう。
しかし、制度上、これはどうしても政府が教科書のありうる姿を色々と決めているという形に見えざるを得ないし、実質的にそのような側面もあると思います。
他の国の様子を見てください。定めていない国もたくさんあります。政府ではなく、州政府といった自治体に委ねている国もあります。

現場の教師に決定権を
皆さん、歴史をしっかり勉強して、深く勉強すると、嘘はすぐ分かります。皆さん、すぐ分かるのです。ですから検定など必要ないと思います。本屋さんに行ったら、日本の歴史に関する本は、日本人は歴史が好きですから、もう山ほどある。そこには小学生向けに書いたものから、大人向けに書いたもの、プロの学者が書いたものなど、たくさんあります。
その中から、それぞれの学校の先生が本を選ばれた方が良い。そうすると、学校によって違うのです。それで議論が持ち上がりますよ。本当の議論がです。
ところが、今は教科書の検定官が特権階級のような存在になっている。そして、教科書を検定している人物を、私たちが審査することができない。それが大問題です。
歴史の豊かさ
日本国家の教科書を決める作業ですが、それは子どもたちに何をどう教えるかという問題と直結するわけです。私は通り一辺倒の、あるい一つのものの見方を教えることに大きな疑問を感じます。
事例の豊かさ。様々な解釈が成り立ちうる面白さ。地域にある古代の暮らしがどのように形成され、今に至るのかを知る楽しさ。そういったものをどんどんと伝えるべきではないでしょうか。明治維新のことを勉強しますが、その時に今、自分が住んでいる地元では何が起きていたのか。そこに注目して、時間を割いて調べるのも良い。
歴史授業でも第二次大戦まではかろうじてやるけども、占領時代やそれ以降のことはほとんどやらない。これも変でしょう。皆さん、そんなことを許す私たち自身に対しても、国に対してもそろそろ「文科省、検閲とか検定をやめろ。おまえたちがやったために、日本の歴史の土台がグワーッと崩れてしまったのだ」と声を挙げましょう。
西に教科書を書いて欲しいなどという話は絶対にないと思います。「あいつなど入れてしまうと全部書き換える。最初から書き直しだ」になるからです。「縄文時代の縄は皆さん、大麻ですよ」とか書き出すわけです。これは麻縄だからですよ。麻が日本人の暮らしをいかに支えてきたのか。丁寧に書いていくと思います。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2021年5月下旬号 教科書検定-4
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

