歴史認識をどう考えるか
教科書検定が行われると、いつも問題になるのが「歴史認識」です。領土問題や戦争責任について、日本国内だけではなく、中国や韓国やロシアまで、口を挟んできます。そして、アジアの各国が、共通の歴史認識を持てば、和解につながるのではないか。日本は、アジアの隣国と同じ歴史的認識を共有すべき、という声もある。
しかし、異なる国同士で共通の歴史認識をすることなどはたしてできるのか。これはもう油と水の世界です。混ぜても、混ぜても遊離する。
日本の生きざまと、隣の中国や韓国、なぜこれが同じになれるのですか。皆さん、考えてみてください。共有しようと言うけれど、何を共有しようとしているのですか。そこを誰も言いません。共有しようと突き詰めていくと「あの日本は慰安婦をやった」とか「日本はこれをやった」、すなわち隣国が日本の非難をした時、その非難を日本人が受け入れれば「共有」と言うのですよ。
ふざけるなと思います。いつまでそんなことをやられて、日本の政府は黙っているのでしょうか。文科省はそれを言えばいいのです。総理大臣が、それを一言、言えばいいのです。アメリカに行ってハンバーガーを食べている時ではないのです。
これはもう非常に陰湿です。皆さん、聞こえがいいではないですか。「歴史認識を共有してお互い同じ歴史認識を持ちましょう」と。しかし現実的にどうやって持つのですか。
とにかくこれは皆さん、陰湿というのは表面的に美しい形に収まっていますが、実情は私たちの頸動脈をカミソリで切る話です。日本の大問題は日本の文科省ではなく、内閣です。これを何十年やってきたのですか。そして一言も反論しません。私もひっくるめて、民間の人は反論しています。しかし政府で、国民から給料をもらって国をつかさどるとか難しい言葉を使っていますが、おまえたちはつかさどっていないのだと、それが問題なのです。
利権
ここに更なる大問題があります。教科書とお金を結びつけるのは卑しい感じがしますが、ここに大きな利権があると思っています。
教科書を出版する会社は決まっています。なぜあれを競争させないのか。問題は、教科書を出版する会社が決まっていて、それらをチェックする先生も大体決まっていて、時の政府の政治的な配慮で「中国にこういうことを言ってはいけない」「朝鮮半島にこういうことを言ってはいけない」などとやるわけでしょう。
「フォロー・ザ・マネー」(金の流れを追う)の観点からすると、この教科書をこの出版社から出すというのは、全国の学校で売ることですから、どのくらい儲かるかが見えるわけです。そうすると、私が仮に文科省から退職した時にその会社に天下ることができれば、売れるよう、検定が通るよう働きかけますよ。これは何も特別なことではなく、普通の人間の感情です。
だからこそ最初から検閲などするな、ということです。自由にやりなさい。自由にやって日本の子どもがバカになるのかといえば、なりません。自由の中で本当の真実が出てきますよ。そして面白い歴史になるのです。もっと詳しく歴史を教えるべきです。小学校1年生から歴史を始めてずっと6年生までで、2021年のオリンピックが中止になった話までしてあげるわけです。
それをしようと頑張る小さな教科書会社があるかもしれません。しかし巨大な利権の壁に阻まれ、実現は難しいでしょう。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2021年5月下旬号 教科書検定-5
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

