学閥をぶっ潰せ！

東洋のガラパゴス

教育使節団は、日本の学者たちを「島国的かつ孤立的」であり、画一主義者であり、また日本国民との間に亀裂を作っている排他的な者たちだ、と叱った。

教育使節団は、日本の将来のため、大学教育の理想を並べた。

⑴ 大学は、知的自由の伝統を国の宝として守り、真理を愛する心を養う

⑵ 指導力を育む教育をする

⑶ 大学は社会の要請に敏感に応じ、技術に熟達するように、選ばれた青年男女を訓練する。

この教育使節団の理想論は、学閥本能に凝り固まっていた日本の大学には、「馬の耳に念仏」であった。学閥本能は、過保護と言っていいほど大切にされ、日本の学界ピラミッドを独占するために、教授たちは才能を発揮した。今でも、している。

東京帝大の縄張り

学術界の外でも、１９４８年のＧＨＱの調査によれば、「高級官僚の８５パーセントが東京帝国大学法学部卒業生」であった。

勿論、各帝国大学は全力を尽くして、学閥という近親相姦の特権を独占してきた。日本の学閥は、日本社会の上下関係と相俟って、凄まじいほどの独裁的な知識体制を作り上げてきた。

東京商科大学の上田辰之助博士（上田敏の子息）は、１９４５年末、ＣＩＥのインタビューを受けた時、

「文部省は、昔ながらの悠長な官僚的、非能率的なやり方を続けており、東京帝大の縄張りに属していることに変わりはなく、また、日本の最悪の官僚主義の伝統に完全に染まっている」

と語った。ＣＩＥと話し合った早稲田大学や慶応大学の教授たちも上田と同意見であった。

安田講堂