日本敗戦

by 西 鋭夫 February 10th, 2015

愛国心と誇り


国破れて、占領が始まった1945(昭和20)年の真夏から、「無敵の日本帝国がなぜ負けたのか」と国民は自責の病に冒され、惨敗の理由探しに苦しんだ。「精神力では勝っていた」と占領の屈辱を耐えた。

飢餓寸前の食糧危機の中で自分を慰めるかのように、この念仏を呟き、「富」の蓄財に奔走した。

「富」の魔力に惑わされ、「富」に真の幸せがあると錯覚し、日本国民は形相物凄く「富」を追求した。戦勝国アメリカが「世界一素晴らしい」アメリカ国内市場を日本の企業に提供してくれた。

「日本のために」「経済復興のために」と。

しかし、「富」という甘い麻薬への代償は、日本が最も大切にしていた「大和魂」を失う事だったとは国民誰1人として気づかなかった。この危ない絡繰に気づいて警告を発した人がいたとしても、「極右」とか「軍国主義者」と罵倒を浴び、無視されただろう。

アメリカにモノを売って日本は金儲けをした。

アメリカにとっての見返りは、日本人の服従。日本人の勇敢さ、戦闘心、「武士道」。脈々と絶えることなく流れ続けた日本国の歴史。歴史に育まれ、成長してきた愛国心と誇り。即ち、日本人の「魂」。

この無形の「見返り」をまんまと日本から取り上げたアメリカは、「また、勝った!」と思っている。銭では計れない、赤字・黒字決済簿に出てこない「誇り」を、アメリカは敗戦直後の虚脱状態にあった日本国民の心の中から、永久平和と民主主義という甘い言葉で誘い出し、アジア・太平洋の「征夷大将軍」マッカーサー元帥の密室で扼殺した。

その死体が、憲法第9条。


憲法9条と平和教育


第9条は「愛国心」の墓。

富める国の真っ只中にありながら、忘れ去られた墓。誰も訪れない無縁墓地。
 
ブランド物の美しい服で着飾り、美味しいものを食べ、多額の金を使い世界へ物見遊山に行き、またハイ・テクの小道具で日常生活を楽しんでいる富国日本の人々の心の中にはペンペン草が生えているのだろう。

己を顧みず、国の歴史となんの絆も持たず、国の栄光と失望、夢と後悔、誇りと反省などには目もくれず、ひたすら「物・富」を追いかける今の日本の姿は、飢えていた5歳の私と同じではないのか。

我々の「誇り」は第9条の中に埋葬されている。

日本国民は、戦後、第9条があるから日本が「平和」でおられたと信じている。そのように教育されてきた。今でも、そう教えこむ。

アメリカは自国の国益を護るため、自国の安全を確保するため、あの猛勇日本、あの「神風特攻隊」を生み出す日本、国のために玉砕する日本人を2度と見たくなかった。我々日本人から「命をかけても護らなければならないもの」を抹殺しなければ、いつまた日本が息を吹き返し、強い国になり、太平洋で、アジアで、アメリカの進出を邪魔するかもしれない、アメリカに報復するかもしれないと恐れていた。

日本の文化から、日本の歴史から、日本人の意識から、「魂」を抜き去り、アメリカが「安全である」と吟味したものだけを、学校教育で徹底させるべし。マッカーサー元帥の命令一声で、日本教育が大改革をさせられたのは、アメリカの国防と繁栄という最も重要な国益があったからだ。

アメリカが恐れ戦いた「日本人の愛国心」を殺すために陰謀作成された「洗脳」を、日本は今でさえ「平和教育」と呼び、亡国教育に現を抜かしている。

この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。