ロシア系住民の保護
なぜロシアがウクライナへ侵攻したのか。大きな理由の一つとしてあげられるのは、以前にもお話ししましたが、NATOの東方拡大が挙げられます。これによって、ロシアと欧米諸国さらにはNATO側との力の均衡が大きく崩れた。NATOの拡大を脅威と見たロシアが、先手を打ってウクライナに介入した、という説明です。
しかし、理由はそれだけではない。ロシア側の報道によると、ロシア系住民の保護も大きな目的の一つでした。2014年以降、ウクライナ東部の特にドンバス地方では、ウクライナ政府軍と親ロシア派武装勢力の間で戦闘が続き、砲撃によって民間人にも被害が出ていた。この状況はゼレンスキー大統領の就任後も続いております。
ロシアはこの状況を「ロシア系住民の保護」や「ジェノサイド防止」と説明し、軍事介入の理由にしました。もちろん、国連やその他の国際機関の資料などを見る限り、言い分は双方で成り立ちます。ロシア系住民の被害もあれば、ウクライナ人たちの被害もある。しかし、世間の報道、とりわけヨーロッパや米国、そして日本の報道はウクライナ寄りかなり偏っております。
ネオナチ
NATOの東方拡大、ロシア系住民の保護といった要因の根源とでも言えるのが、第二次世界大戦中の記憶です。すなわち、ナチス・ドイツによる裏切りであり、ロシア系住民たちの虐殺です。
プーチンがウクライナに侵攻する前、語っていたのは「ウクライナはネオナチだ」ということです。ネオというのは新しいという意味なので、新ナチスだと言い続けていたのです。私も最初は「なんでネオナチなどと言っているのだろう」と思って調べました。
ナチスがモスクワを攻撃する時ですが、彼らはウクライナを通ってきたのです。ウクライナは最初は抵抗しましたが、2~3週間で降参。その後、ウクライナはナチス軍に入っていくわけです。納得がいったのは、もう最近では見かけませんが、ウクライナ軍が最初に使っていたヘルメットの映像です。あれはナチス・ドイツが使っていたヘルメットなのです。専門家が見たら一発でわかります。私も驚きました。
プーチンはその当時のことを忘れていないのです。おそらく猛烈に歴史を勉強しているのでしょう。ウクライナが寝返り、ナチス・ドイツに加勢し、ロシア人たちを虐殺したことをです。その彼らが今、ロシア系住民を攻撃し続けているので、新しいナチスなのです。あいつらは条約を平気で破る奴らだ。信用ならないから自分たちで守るのだ、という論理です。
民主主義の防波堤
ウクライナが負けて、仮にロシア側の支配下に入ると世界の民主主義は終わりなのでしょうか。欧米諸国はここぞとばかり、この戦争を「民主主義を守る戦争だ」といっております。いい加減にしてほしい。
終わりだとか言っていますが、なぜ終わるのですか。ヨーロッパは終わるわけではないし、日本の民主主義も終わるわけではありません。アメリカの民主主義も続きます。ですから皆さん、欧米諸国がウクライナを支援するのは民主主義の防波堤のためではないのです。
後ろで莫大な金が、何十兆と動いていることをお忘れなく。軍事産業が儲けに儲けております。ゼレンスキーにどんどんとお金を支援し、ウクライナに武器を買わせろ、ということでしょう。
そんなバカなことをいつまで続けるのか。たとえば、アメリカの半分以上は超貧乏ですから、「そんなお金をなんで外に行って戦争をやって消耗しているのだ。国内のインフラを直せ、国内の貧困層にお金をやれ」と思っています。
西鋭夫のフーヴァーレポート
プーチン・カールソン対談(2024年3月上旬号)-7
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

