競争社会
「なぜ、あいつが。どうして私ではないのか」。人事をめぐっては、皆さんも一度や二度、こうした不満を漏らしたことがあるかもしれません。人事異動でもって、いわゆる出世をする人もいれば、左遷される人もいる。出世できるか否かは、一人一人の人生を大きく左右します。
私自身、人事を通して、たくさんの嫌な体験をしてきました。足を引っ張られるような苦い経験も山ほどあります。人事で良い思い出はほとんどありません。私は2、3の大学で教員をしていたこともありますし、企業にも勤めた経験もあります。
何が大変だったか。皆さんそれは、男同士の競争です、競争自体は良いことだと思います。しかし、その競争で一番怖くて嫌なのは嫉妬です。
嫉妬
皆さん、女の嫉妬ではありません。私たち男は「女の嫉妬が」どうのこうのと言っているわけですが、何を言っているのか。一番怖く、そして嫌な思いをするのは男の嫉妬です。
企業や大学、学校さらには官公庁や地方自治体など、勤められていたら絶対に経験されています。何か自分がよく出来ることが一つあったら、それに対して嫉妬されます。
最初のうちはよく分かりません。「何で俺はいじめられているのか、わからない」というやつです。私はもうガキのころから嫌な体験がずっとあるわけです。
ですが、一つ言っておきます。嫌な体験をすると必ず成長する。だから、ご安心ください。今体験されている方々もご安心ください。耐えて、耐えてもっと頑張って、上に突き抜けるのです。そこには大いなる成長が待っています。
アメリカにて
この嫉妬についてですが、アメリカでは多少事情が違ったように思います。アメリカではむしろ、差別ではないのですが、出来ない男は「評価されない」「上に登れない」ということでした。アメリカに留学した際、最初の1、2年、私は英語ができず、クラスメイトからは「何でこいつ英語が出来ないのだ」と思われていました。「おまえは日本語が出来るのか」と言ってもダメです。これはある程度の屈辱です。
しかし、大学院で二、三年して、先生もほかの院生たちも、私が名文を書くと分かった。これは自慢ではありませんが書けたのです。名文のレポートを書いたのです。そうすると先生の態度ががらりと変わった。そして先生の顔色を見ている他のアメリカの大学院生たちが、私に対してがらりと姿勢が変わった。
これがアメリカです。アメリカでは才能があると、背が高かろうが低かろうが、ハンサムだろうがブスだろうが全然関係ありません。この気質はすごく良かった。私は好きでした。ニューヨークの広告代理店で働いて、そこでも私は差別など受けたことはありません。その広告代理店で私は初めての日本人でした。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2022年8月下旬号 出世と人事-1
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。


