ロシアNATO加盟論

by 西 鋭夫 June 25th, 2026

平和主義者プーチン

プーチンとタッカー・カールソンの会談の中で、こんな話がありました。プーチンは以前、ビル・クリントン大統領に「もしロシアがNATOへ加盟を求めたら実現すると思うかどうか」と質問したのです。

皆さん、まさかと思うでしょうが、これは本当の話です。1990年代から2000年初頭にかけて、その可能性は実際にあったのです。クリントンは先の質問に対して、明確に拒否するのでもなく、可能性は排除しないという姿勢だったようです。

背景には何があるのか。これはほとんど知られていないと思いますが、プーチンは当初、平和を大切にする人でしたし、民主主義の可能性を信じていたことが知られています。ソ連崩壊後のことです。プーチンは、とにかく平和でいたいし、戦争して弾を撃ちたくないと、そんな人物でした。

 

NATO加盟の可能性

NATO加盟の可能性を探るような発言に対し、クリントンもアメリカも盛り上がっておりました。クリントンについては、色々とスキャンダルはありましたけれど、クビにならなかったのは、やはりそれほど人気がありました。そして彼自身もロシアのNATO加盟の可能性を排除しなかった。NATOもロシアとの特別な関係構築へ前向きな時期もありました。

しかしプーチンの期待は裏切られるのです。東ヨーロッパの国々が次々とNATOに加盟国し始めたことにより、NATOの東方拡大と呼ばれる状況が生じます。拡大はNATOが主導する、アメリカが主導するというわけではなく、その実情はそれぞれの国がNATO加盟という選択肢を選ぶのです。ですから、各国の決定に委ねられています。

しかし、かつてのソ連を敵対国と想定したNATOが、冷戦が終結したにもかかわらず、ロシア側に向かって拡大し続けるのは、やはり恐怖でしょう。

 

共同防衛の模索

ロシアを恐怖だと思う国は多いのでしょうが、冷戦崩壊後から2000年代にかけては、ロシアがアメリカや欧州に対し、共同防衛のために一緒にミサイル防衛システムを開発しましょうと呼びかけたこともあります。「ならず者国家」からロシアのみならず、アメリカやヨーロッパを守ることが目的です。

一度だけではなく、ヨーロッパとアメリカに対して、またある時はNATOとともにそれをやりましょうと提案したことがあるのです。NATOの東方拡大云々というのも今回の戦争にとっては大きな問題ですが、その部分だけがクローズアップされており、その全体像や過去の歴史が全く見えていない中で、議論や批判が一人歩きされているように感じます。

 

西鋭夫のフーヴァーレポート
プーチン・カールソン対談(2024年3月上旬号)-4

 

 

この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。