餓死の恐怖

by 岡﨑 匡史 July 1st, 2026




From: 岡崎 匡史
研究室より

敗戦を迎えた日本人を待っていたのは餓死の恐怖。
食べ物がない。

1945(昭和20)年8月15日を境に、戦地で戦っていた兵士や植民地で暮らしていた人々が命からがら本土に逃げ帰ってくる。約620万人もの復員・引揚者の食糧を確保することもままならない。

枕崎台風


敗戦直後の1945年9月に日本を襲った「枕崎台風」の影響で、米の収穫
高は過去30年最低を記録。

翌1946(昭和21)年の食糧危機は避けられない。

農作物を育てる化学肥料もない。肥料を生産していた工場は、戦時中に火薬工場に転換していたからだ。

土地が痩せていては不作になるのは明らかだ。東京の汲み取りトイレから糞尿を集めて、列車で近郊の農村に運ぶという始末だ。畜産業も飼料不足で崩壊。

日本の漁船団は公海から締め出され、沿岸で魚を捕りたくとも船の燃料がない。日本政府は「1000万人の餓死者が予想される」と公言する。

戦災孤児


親族を亡くした、あるいは身寄りのない子どもたちは、ホームレスと化していた。誰にも頼ることができない「戦災孤児」である。

戦争の最大の犠牲者は、子どもたち。

昭和天皇は、宮内省に備蓄されている砂糖を不幸な子どもたちに与えることができないかご提案なされた。


ー岡崎 匡史

P.S. 以下の文献を参考にしました。
・連合国最高司令官総司令部編『GHQ日本占領史 第4巻 人口』黒田俊夫、大林道子訳(日本図書センター、1996年)。
・連合国最高司令官総司令部編『GHQ日本占領史 第41巻 農業』岩本純明訳(日本図書センター、1998年)
・厚生省五十年史編集委員会『厚生省五十年史 記述編』(財団法人厚生問題研究会、1988年)

この記事の著者

岡﨑 匡史

岡﨑 匡史

日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。

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