世界のマリファナ勢力図

by 西 鋭夫 September 21st, 2023

カナダ

サラダ感覚で大麻を食べる国もあるとお話ししましたが、世界各国のマリファナに対する反応を見ておりますと、近年ではカナダの動きが顕著です。世界のマリファナ市場を席巻するほどの勢いです。カナダでは連邦政府がマリファナを合法化しました。現在では、マリファナ関連会社がカナダ国内でいくつも誕生しています。

カナダは、特にメディカル・マリファナの開発においては世界でも1、2位を争うほどのレベルだと思います。カナダの製薬会社がうつ病やてんかんの特効薬としてマリファナ入りのお薬を日本で売り出そうものなら、日本の製薬会社は大変な窮地に追いやられてしまうでしょう。生き残るためには薬を買わないといけませんが、儲けはガクッと減ります。

日本には法律があるのではないか、と考える人もいるでしょう。しかし、世界の大手企業は自国の政府を味方につけながら、「日本で売れないのは、あなたのところの法律が悪いからだ」などといって、圧力をかけてきます。日本は外圧に弱い国です。カナダやアメリカから寄って集ってそう言われたら、受け入れざるを得ない状況になっていくと思います。

 

フロム・マウイ

アメリカには残念な事例があります。それは太平洋の真ん中にある孤島、ハワイのことです。皆さん、ハワイに最近行かれたことはありますか。現在の状況は以前とだいぶ違っていまして、貧富の差も目立ってきましたし、インフラ設備もガタガタのところが多いです。浮浪者もたくさん見かけます。私はハワイが大好きなので腹が立って仕方がないのですが、そのハワイを甦らせるきっかけにマリファナを活用できないかと考えています。

マウイ島のマリファナはアメリカ本土では高く評価されているのです。品質がよく、アメリカのマリファナショップでは「フロム・マウイ(from Maui)」と記され、人気の商品となっています。

しかしハワイはマリファナに対して未だに悪いイメージを持っており、「そんなものはいけません、世界中から悪い人たちが集まってしまいます」などと言って、全面的に解禁しておりません。そうこうしているうちにハワイは財政破綻してしまうかもしれません。「コロラドを見習って欲しい」と思います。

 

マリファナ鎖国

はっきり言いますが、マリファナ合法化という世界的潮流を止めることはできません。大麻所持で芸能人を捕まえようが、世界の潮流には抗えず、日本はどんどんと巻き込まれていくと思います。

現在の日本は「マリファナ鎖国」とでも言える状況にあります。この間、日本のマリファナ開発などは完全にストップしておりますから、日本は世界のマリファナ市場で孤立し、出遅れることとなります。これで本当に良いのでしょうか。マッカーサーによるマリファナ禁止令の経緯についてお話ししましたが、私たちは未だにその亡霊に取り憑かれている状況なのです。

 

西鋭夫のフーヴァーレポート
大麻ビジネス(2019年5月下旬号)-8


 

この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。