国民の審判

マッカーサーの誤算

１９４９（昭和２４）年９月、マッカーサーは、陸軍省宛に北朝鮮でのソ連の不穏な活動を警告して、多くの極秘電報を打電し始めていた。

日本の共産主義者たちは、謙虚を美徳と考えている者たちでもなければ、静かな説得者でもなかった。彼等の演説は自分たちを陶酔させ、日本の保守主義者達を脅かし、一般国民を当惑させた。

彼等に自由を与えたマッカーサーは裏切られたと思ったのだ。

羨望

しかし、ＧＨＱで占領行政に携わっていたアメリカ人たちは、共産主義者の組織力と彼等の献身的活動を羨ましく思っていた。

この羨望は、大学内での「赤狩り」で著名になったウォルター・クロスビー・イールズ博士がはっきり言明している。

「非共産主義の学生たちが、共産主義者のあの情熱と献身的活動の半分でも示してくれればいいと、我々は日本で何回となく、期待していた」

赤い殉職者

日本国民は、共産主義者の喧嘩腰のデモや宣伝活動に対して多大な寛容さを示した。この新しき寛容さは、共産主義者に対して同情的であることが民主主義的だとする考え方から発生したものである。

日本帝国に反対し、牢獄に送られて、残酷な拷問によって死んでいったのは、他ならぬ日本の共産主義者たちだった。

共産主義者は、戦後の日本で、殉教という衣を纒っていたのである。

しかし、共産主義は、日本国民が心の底から忌み嫌ったソ連を意味した。その結果、日本共産党は「ソ連とは無関係」と懸命に宣伝したが、これは自分たちを、日和見主義的な偽善者と暴露したようなものであった。

議席を失った共産党

衆議院における共産党の議席数は、変貌する国民の意識を克明に示した。

４６１議席のうち、１９４７年と４８年は、４議席が共産党で占められ、４９年には３５議席。５０年には２９議席。翌５１年には２２議席。そして、５２年には議席数ゼロとなる。

これらの数字は、レッドパージの大成功を物語る。