ワクチンに手が届く人、届かない人
途上国にももちろん特有の問題があります。たとえば、ある国にワクチンが提供されたとしても、それが全員に平等な形で分配されるとは限りません。
ワクチンが入手できたとしても、それが本当に効くワクチンかどうかも、実は専門家でない限り、ほとんどわかりません。一般に、ワクチンは期限切れになったり、暑い所へ持って行くと効果が出なかったりするのですが、それでもワクチンを流通させて、注射を行い人々を安心させようとする思考が働くかもしれません。
一方、コロナもバカではないので、変化していくわけです。変化すると言っても、別に強くなるというのではありません。変化して、私たちの免疫がそれに追いつかないという話です。変異種は従来のものより「さらに強力」、というイメージがありますが、強くなっておりません。あれは形を変えただけです。丸かったウイルスが四角になってしまったという感じです。だから私たちの持っている免疫、それも注射した免疫はそのウィルスに合わないかもしれないのです。

ワクチン漬け
ですから皆さん、毎年インフルエンザの注射が出てきますが、あの注射が効いたり、効かなかったりするのは理由があるのです。今年の冬に出てきたインフルエンザの薬は、去年のウイルスを調べて、それに効くものを出しているわけです。そうすると1年経つと、ウイルスは変化していきますので、それで効かなくなるのです。ある人が言っていましたけれども、毎年インフルエンザの注射をしていくと、免疫はだんだんと弱くなるようです。
コロナウイルスを防ぐためという理由で毎年打っていると、私たちの体はワクチン漬けになってしまいます。ワクチン漬けですよ。ワクチンそのものの発想と違うことが起きているのです。
ワクチンというのはそもそも、対象となる病原菌が少し形を変えたものです。それを打っておくと、抗体が出来て、次に入ってこようとする病原菌をガッと食い殺すのです。この発想で成功したのは天然痘です。そして結核であり、ジフテリアでした。成功したケースは非常に多いのです。それで、死に至らしめていた様々な病原菌や伝染病がなくなりました。そういう良い例は世界中にたくさんあります。
ただ、最近出てきたSARSやMERS、そしてコロナですが、私たちの体はおそらくどうしていいか分からないのです。そんなものに出会ったこともないのです。これらのウイルスの多くは自然界のジャングルから、動物やバクテリアを通して、都会に住む人間に入ってきているのです。人間が住む世界がどんどんと大きくなり、動物の世界を侵食し続けるならば、この傾向は今後ますます強まるでしょう。
西鋭夫のフーヴァーレポート
ワクチン争奪戦(2021年1月上旬号)-4
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

