ワクチン開発と巨額マネー

by 西 鋭夫 April 27th, 2026

教訓

占領下の日本で起きたジフテリア予防接種の事故は、多くの教訓を残していると思います。予防接種という行為自体には副作用が伴うだけでなく、誰が「被害者」になるかが予測できないということです。しかし予防接種とはその一方で、強制的に行うことで、社会の防衛機能という役割も果たしております。これも無視できない重要なことです。

現代の日本では、予防接種は「国の判断」ではなく、「個人の判断」に任される傾向が強いように思います。これはあくまで私の個人的な意見ですが、強制接種というのは良くない。だから個人の判断でというのが大切なポイントです。でも、個人で打たないと決めて病気になったら、日本は健康保険がしっかりしていますけれども、個人の責任で治療しなければいけません。それを自覚せずに、「俺は嫌だ」と言って病気になったら「国の責任だ」というのは良くありません。

 

ワクチンと巨額マネー

多くの人がそのことに気づいていると思います。しかし、それでもなお強制接種というならば、そこには別な論理が働いているのではないかと考えてしまいます。例えば、金儲けです。

ワクチンを製造することで儲かるのは誰かということです。ワクチンの製造には、通常500億円から1,000億円ほどの巨額の資金がかかると言われております。基礎研究から安全なワクチンが完成するまで、通常は10年以上かかります。手間とコストが必要です。

しかし、良い製品を作ることができれば、製薬会社には莫大な売上が入ります。今回の新型コロナでも決して少なくない企業が多くの利益を得たのではないでしょうか。現段階では厳密にいうことはできませんが、例えばマイクロソフトのビル・ゲイツさんはこの10年ほど、バイオテクノロジーに巨額のお金を投入されてきたことで有名です。

彼の頭の中では、これからの時代はバイオ・メディシン、すなわち生物学(バイオ)と医学(メディシン)を結びつけた科学で、私たちの体をどういうふうに使って、どういう病原菌と戦って、そしてどういう病気をなくしていくかという、そういう研究の重要性が高まっているのでしょう。ビル・ゲイツさんはそこに相当なお金を投資されておりますが、彼のお金がどこへ回ったのかについては分かりません。

ワクチン競争

アメリカ政府は薬屋さんに莫大なお金を出して開発してもらい、それで「優先的にアメリカに配ってね」とやりました。トランプさんがそうしている時に、日本の総理大臣である安倍さん、それから菅さんは黙ってじっと見ていたのですか。なぜ日本もその時に金を出さないのでしょうか。そうすると優先的に薬がもらえたはずです。

開発の段階からお金を投資している人たちに還元するのは当然でしょう。だからベンチャーにお金を出してガーンと上がった時に、そのお金を受け取るということで同じ発想です。これはオックスフォードでもやっています。その時、日本は何をしていたのですか。マスクの開発ですか。

この競争において、日本はどうしたのですか。何でもっとイニシアティブを取らないのか。朝から晩まで、もう見飽きるぐらいコロナ、コロナ、コロナです。「感染が何百人、さあ大変だ」と言っています。もう早くオリンピックをやめると言いなさい。皆さん、鼻の中に棒を突っ込まれてまで誰が来るのですか。

 

西鋭夫のフーヴァーレポート
ワクチン争奪戦(2021年1月上旬号)-7

 

この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。