矛盾

by 西 鋭夫 March 7th, 2024

権力

ナチスの残虐な面だけを見れば、もちろんその行為は非人間的であり、決して許してはいけないことです。しかし、その医者たちが肺がんとたばこの関係を発見したことは忘れてはいけません。ナチスはそこで、「タバコを吸うと、こういうことになりますよ。肺がんです。肺が弱くなると運動出来ませんよ。戦争でもう戦えませんよ」と、宣伝したわけです。

ナチスは国民に対してある種、強制的な力を用いて禁煙を実行したわけですが、この権力こそがポイントです。皆さん、アジアではかつて、中国の皇帝が「アヘン禁止」と言いましたが、国民は従いませんでした。アヘンの方が皇帝よりも大きな力を持っていたのです。そのため、アヘン業者はどんどんとアヘンを中国に輸出し続けました。

その後に起こる中国とイギリスの戦いを、私たちは「アヘン戦争」などと呼んでいますが、あの戦争はイギリスを後ろ盾にした麻薬業者が中国皇帝に勝った、という話です。実際は麻薬業者が国のトップに勝ったということなのです。

これと同じようなことが起きている国があります。メキシコです。この国では麻薬マフィアが年間何千人も殺しております。記事を書く新聞記者も殺し、反対する政治家も殺しています。アメリカでは、今、メキシコはマフィア国家と呼ばれています。

 

麻薬漬け

徹底した禁酒、禁煙政策を実施したナチスドイツですが、その内部は矛盾にあふれた世界でした。ヒトラーは外向きには健康で立派なアーリア人の重要性を叫んでおりましたが、自分自身は麻薬漬けでした。

特にモルヒネ系、アヘン系の痛み止めを多用していたようです。「頭が痛い、腹が痛い、元気が出ない」と言えば、ヒトラー専用の特別なお医者様がおりまして、ヒトラーに延々と注射をしておりました。

強靭なナチスドイツの軍隊にも秘密がありました。記録によれば、彼らは3〜4日寝なくても戦い続ける、戦闘マシーンのような存在でした。ヨーロッパの敵国は「とてもじゃないが、こいつらは怪物みたいだ。戦えない」とオロオロとしていたようです。

ナチスドイツの兵士たちのほとんどは薬物を常用しておりました。でなければ、戦い続けることも、あんなに凄惨なことも出来ないでしょう。

 

西鋭夫のフーヴァーレポート
タバコ利権とファシズム(2020年2月上旬号)-6



この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。