属国ニッポンの行く末

by 西 鋭夫 April 7th, 2020

卑怯な日本


目もくれなかった「日本」が、アメリカの経済に影響を及ぼすまでになったのかと気がついた時のアメリカの驚きは、日本という国を認識するのには役立ったが、その認識は好意的なものではなかった。

日本企業の商売上手もあったろう。日本製品の優秀さも市場獲得に貢献したろう。だが、アメリカはそう受け取らなかった。日本人はやはり"sneaky"だと再確認したのだ。

このsneakyという言葉は、アメリカが日本のハワイ真珠湾奇襲攻撃を"sneaky attack"と言った時に使った単語で、「卑怯にも背後から忍び寄って」という意味だ。


アメリカの底力


私はアメリカの社会が裕福なおおらかさを失っていくのを見た。それを体で経験した。アメリカが犯罪にむしばまれていくのを見た。暴力化していくのを見た。失業者が増え、街にストリート・ピープルが放浪してくるのを見た。白人も黒人も、帰る家もなくビルの片隅で暮らしていた。

特に、コカイン、ヘロイン、クラック、エンジェルダスト、スピード、LSDが若者を廃人にしていくのを見た。アメリカで1、2位に美しいといわれているシアトルにも落書きが増え、ゴミで街が汚れていくのも見た。

しかし、アメリカの底力を私は知っている。富の深さも知っている。最近、日米関係を分析している日本の「有識者」たちはアメリカを過小評価している。「アメリカの時代は終わった」「アメリカ世紀の終焉」というようなセリフを並べ立て、アメリカを見下げれば、日本の地位が上がると錯覚しているのかもしれない。


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日本と世界


「アジア」の時代というが、日本はアジアの国か。アジア諸国は日本をアジアの一国と見ていないのではなかろうか。さらに、「アジア」とはどの地域をさすのか。オーストラリアはアジアか。ロシアはどうか。インドはどうなのか。

欧米には共通文化がある。ギリシャ・ローマ文明からキリスト教文化の共同体認識もある。「アジア」にそれに似たものがあるのか。まさか「仏教共同体」ではあるまい。あるのは肌の色だけだ。



アメリカを侮るべからず



アメリカを過小評価すると、そのツケは手痛いものとなる。「脱欧入亜」(ヨーロッパ・アメリカと手を切り、アジアと組む)などという新語を作り、喜々としている日本の有識者たちは、アメリカの復活能力を知らない。アメリカを知らないのだ。 

私はアメリカを、とてつもないほど強力な国だと認識している。アメリカの財力、戦力、影響力は世界でどの国とも比較できないほどだと思っている。だから、日本がアメリカの属国のまま21世紀を迎えるのではないかと心配しているのだ。




西鋭夫著『富国弱民ニッポン』

結び/後記 富国日本の現状−21




この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。