米軍の「歩兵」

by 西 鋭夫 March 22nd, 2018

「独立」という餌


マッカーサーは「正当防衛のためでも武力を使わないユートピア」を日本国憲法に書き込ませ、日本人を弱い群衆にしたが、朝鮮半島で北と南が骨肉の殺し合いを始める直前、それが独りよがりの危ない空論であることに気づき、日本も「自衛のためなら武力を持って当然だ」と突然言い出した。

生死を懸けた冷戦に全力を注いでいたアメリカは、アジアとヨーロッパ全土が将棋倒しのように共産化するのではないかと戦慄にかられ、日本を米軍陣営に引き留めておくため、「独立」という大きな餌を占領下日本の鼻先にちらつかせた。

日本国民は食らいついた。餌には大きな釣り針(在日米軍基地)が隠されており、今でも我々の頸動脈に近いところにグサッと引っ掛かったままだ。「独立」させてやるから、日本の領土を米軍基地として喜んで差し出せという実に単純な威しである。

人口密度が世界一、二に高い東京都に米空軍基地があり、朝から晩まで最新の戦闘機が鼓膜を裂くような轟音を立てて訓練をしているが、あれは日本国を守っているからか、それとも圧倒的な武力を日本国民に見せつけているのか。占領が続いているのではないか。


「有事関連法案」とは何だったのか


最近、「有事法」について論議は活発であるが、有事法を作らなければならないと焦っている政治家たちは、なぜ第9条に正面から取り組まないのか。時の流れに漂白され、化石化した重たい伽で日本が身動きできない限り、アメリカと軍事同盟を結び得る基盤が日本側にない。

この枷で日本が縛られているので、両国が同等の立場に立って公平な条約を話し合うこともできない。日本の国防を在日米軍に頼るしかない上下関係の現状が続いているだけだ。

2003(平成15)年5月15日、「有事関連法案」が衆議院で可決された。これと連動させて、イラク復興支援の新しい法律も設定している。「やっと成立した」と与党と野党はお互いを褒めあっている。

すなわち、在日米軍指揮の下、自衛隊を動かせるようになり、さらに日本人の税金が米政府の指示の下に使われてゆく。日本の自衛隊をいつまで憲法第9条の「日陰者」にしておくつもりなのだろうか。自衛隊員をこれからまた60年間も米軍将校の「歩兵」にしておくつもりなのか。


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仮想敵国


日本の「仮想敵国」は、北朝鮮とこのテロ国家を支えている国々だ。テポドンと核兵器を持ち、日本人を拉致して殺す北朝鮮は「仮想」ではない。

「有事」とは、「戦争」をも意味する。日本は、攻撃されたら、瞬時に反撃できるのか。「正当防衛」(日本で意味不明)のためだけに存在している自衛隊は、攻撃用の武器および攻撃部隊を維持していないのではないか。

第二次イラク戦争で、目が覚めるように強い米軍の作戦を世界が見た。最高の「防御・防衛」は徹底的な攻撃である。




西鋭夫著『日米魂力戦』

第4章「国の意識」の違い -8



この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。