新たな時代
ただ、これからは新卒、新卒採用という言葉も、もうだいぶなくなってくると思います。すなわち皆さん、今まで「俺は才能があるのに出世できなかった」と思われる人、その人たちには大チャンスが巡ってきました。これからの雇用は戦国時代に入りましたから、槍一本で勝負できます。
Zoomでいろいろやっていて、私はZoomは大嫌いですが、それでも分かってきたのはその便利さであり、効率性の高さです。もう混んだ電車に乗って千葉から東京に行かなくてもいいということです。会社の方も、いちいち来てもらわなくてもいい、高い家賃を払ってこんな大きい所を借りる必要もないと分かったのです。
ですからこれから、いわゆる物事を、家でパジャマを着たままカチャカチャとできる人には絶好のチャンスです。これはチャンスと捉えなければいけません。「これでもう就職がない」とは言っちゃダメ。有名な会社の名前にこだわらないで、これから伸びそうな分野がありますから、そこに目を向けていきましょう。
就職と採用は戦国時代に突入です。何が起こるか分からないし、何かを起こしてやりなさい。

デジタル分野
では今後、どのような職業が注目を浴びるのか。まず大きく見て、いわゆるデジタル、コンピュータです。それを使って様々な分野に大きな影響が生まれると思います。高年齢の介護や医学などもそうです。お医者にならなくても、薬の開発、また医療で使ういろんな器具の開発があります。デジタルによって、ひょっとしたら銀行も変わる。日本の銀行ほどデジタル化していないところはありません。
仕事の仕方も変わります。テクノロジーが発展すれば、それまでにはなかった仕事も生まれてきます。会社に行かなければ仕事ができない、毎日同じ場所に集まらなければ仕事にならない、そういう時代そのものが変わってきました。ですから、これまでの有名企業や有名業界だけを見ていてはいけません。
デジタルの世界がどこに応用されているのか。医療、介護、金融など、これまでとは違う分野と結び付くことで、新しい職業が生まれる。これから伸びるところに、自分から目を向けていかなければいけません。
食糧分野
それからもう一つ、間もなく日本にも大きな影響が現れてくると思いますが、食べ物、農業、食糧生産の分野です。つい最近、日本に帰ってきて、私の好きなたい焼きが近所にあるのですが、今までは一つ、一四〇円だったのです。それが一七〇円になっていました。おい、たい焼きで何だこれはと思いました。
それから大福におはぎ。全部、値段が上がっているのです。この間、高島屋に行って、私はデパ地下でコーヒー豆を買うのですが、もうさすがに笑ってしまいました。そうすると、カウンターで詰めているお姉ちゃんも一緒に笑っていました。
皆さん、私はフレンチローストというのを買いました。一〇〇グラムが一四〇円だったのが、昨日、買いに行ったら二六〇円になっていました。上がり方があまりにもひどい。それで思わず笑ってしまった、ということです。日本で美味しいと言われている、私は飲んだけれどあまり美味しいとは思いませんでしたが、ブルーマウンテンというコーヒー。これは怒るよりも失笑です。一〇〇グラムが三三五六五円です。そんなものは、もったいなくて飲めない。
私たちが影響を受けるのはガソリン代もありますが、それは実は、食費に直結します。輸送コストというやつです。これは米や麦、トウモロコシ、じゃがいもやサツマイモなど、全てに当てはまります。ですから、これからの食糧をどうするのか。ここに大きな注目が集まってくると思います。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2022年8月下旬号 出世と人事-9
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

