新種
このパンデミックは私たちに何を問うているのか。大事なことは「ウイルスが襲ってきた」ということではありません。現代社会が、人知れず存在していたウイルスを招き入れてしまった、ということが問題だと思います。そして、私たちのグローバル化によって、ウィルスが蔓延したということです。人間の動き、モノの動きと共に、ウイルスも国境を渡ってきたのです。
このように考えると、新型コロナウィルスとは現代の資本主義がもたらした副作用とも言えるのではないでしょうか。この動き、すなわちグローバル化によって、人もモノも世界各国・地域をどんどんと動きまくるのです。これはもう止まりません。
この過程で私たちはまたどしどしと環境を破壊していきますから、新たなウィルスがさらに出てきます。昨年、かなり大きなスズメバチがアメリカのオレゴン州とワシントン州で発見されました。ここには日本からたくさんの船が入ってきます。その船の中で、日本のスズメバチが巣を作っていたのでしょう。

国境を越えるウィルス
このハチがオレゴンとワシントンで一気に増え始めました。これが見つかって大騒動です。ニュースになっておりました。アメリカ人はこんなに大きなハチを見たことがありません。
それに刺されると痛いのを通り越して、命の危険があるのではないかといわれております。免疫が何もないからです。それで消防隊の人たちが完全武装してスズメバチの巣を襲撃していました。
日本にはよその地域からヒアリという、噛まれたら焼けたように痛いアリが入ってきました。南米原産ですが、アメリカにも多く生息しております。刺された場合、人によっては重篤なアナフィラキシーショックを受けます。
この二つの例だけ見ても、お分かりでしょう。目に見える形で入ってくるのです。ですから、目に見えないウィルスはどうなのだ、と考えた方が良い。今さらウィルスを根絶しようと言っても、何も終わらないです。新種が出てきて、それが簡単に国境を超えてきますから、私たちはウィルスと共存するという覚悟でないといけないのかもしれません。
終わりなき戦い
ウィルスとの戦いはよく「終わりなき戦い」と呼ばれますが、その通りです。この戦いには終わりはありません。新型コロナウィルスと言いますが、新型の前に、すでにコロナウィルスはあったのです。仮にそのウィルスに対して、完全に抑えることができるワクチンが存在していたとしても、新型に効くかどうかはわからないのです。
ワクチン云々より、私たちの生活自体をいかに守るのか、という点も重要です。経済をどう回すかという課題です。今回のパンデミックでは、原因も何もわかっていない中にあって、飲食店などに対して酒を売るな、夜の影響をやめろなどとやった。補償するということですが、それで賄えるのか。多くが失業。お店も閉店に追い込まれるケースが多くあるでしょう。
その一方で、この政策を作り、運用する側は普通に給料が入り、ボーナスも入る。誰のための何の戦いなのか。よく考えた方が良いと思います。
西鋭夫のフーヴァーレポート
ワクチン争奪戦(2021年1月上旬号)-8
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

