防災と道路

by 西 鋭夫 April 18th, 2024

対策

大地震や大噴火がオリンピックの時に起こらないとは限りません。東京なぞどこもかしこも道が狭いでしょう。大きな道は数本しかありません。防災対策は大丈夫なのでしょうか。

様々な災害を経験してきた私たちは、本当にその学びを生かしているのでしょうか。災害の歴史を振り返るならば、日本ではもうオリンピックをしない方が良いのかもしれません。日本でどうしてもやりたいというのは、他に私たちの知らない理由があるのでしょうか。日本の地理的環境と東京の様子を見れば、日本開催は極めて大きなリスクを伴うものだと思います。

自然災害だけでなく、伝染病も心配です。アメリカのニュースは今、コロナウイルスでパニック状態です。マスクが売り切れになっているそうです。日本でパンデミックが起きたら、それこそ逃げ場はないでしょう。ウイルスは時間が経てば自動的に消えていくといったものでもありません。

 

命綱

防災を考える上で、極めて重要なインフラの一つに「道路」があります。東日本大震災では、大きな津波から地域住民を救った命綱がありました。仙台東部道路です。仙台市の沿岸部を南北に走る道路です。土が高く盛ってあるので、周辺より7メートルから10メートルほど高い位置に道路があります。津波が襲ってきたとき、道路を挟んだ左右で浸水被害に大きな差が出ました。

大型のしっかりと造ってある道路は、一種の防波堤となります。その一方で、海岸線沿いに走る道路、すなわち土を高く盛らずに地面を走る小さな道路ですとか、鉄道などは一発でアウトでしょう。鉄道は利便性に優れておりますが、災害に対しては脆弱です。

道路はまた防波堤の役割を担うだけではありません。支援物資をいち早く現地に届けることを可能にします。自然災害から助かったとしても、道路がなければ、十分な水も食料も届けることはできません。



古代文明の礎

シルクロードに象徴されるように、道とは人の交流を促しながら、商品だけでなく、知識をも運んでいきました。古代ローマ帝国では、支配している領土に、石畳の道路を次々と作っていきました。

古代文化が偉大なのは、必ずといっていいほど、道路を「システム」としてきちんと整備してきたことです。それは時に、戦争にも使われましたし、戦争で得た地域を効率的に支配するためにも使われました。道があると、いつでも軍隊が送れるのです。反乱などしようものなら、一瞬で潰されます。

山岳地帯に高い文明を築いた南アメリカのインカ帝国でも、高い山脈の中に石畳の道路がきちんと作られておりました。道は古代文明の礎なのです。

 

西鋭夫のフーヴァーレポート
国土復興と防衛(2020年3月上旬号)-2

 

 

この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。