丸腰列島ニッポンの空想

by 西 鋭夫 January 25th, 2024

軍隊を持たない国

私は世界史も日本史も、長い間勉強してきましたが、絶えず細心の注意で研究しているのは戦争です。なぜ、どうして、どんな条件や環境がそろったときに戦争が起きるのか。それを常に考えながら歴史と向き合っております。

人間とはすなわち戦争をする動物です。有史以来、ずっと戦ってきました。この50年ほどの間でも、さまざまな戦争が起きていますし、その火種もあちこちでパチパチしております。朝鮮半島や台湾海峡だけではありません。インドとパキスタンとの関係、ロシアと旧ソ連国との関係、中東諸国と欧米諸国との関係など、いろいろなところでざわついているように見えます。

対中国ということで考えると、中国に警戒心を持っている国々はたくさんありますよ。東南アジアを見れば一目瞭然です。彼らは非常に長い間、中国に脅かされてきましたから、それぞれの国でしっかりとした軍隊を持っています。中国にもう脅かされたくないのです。広大なアジア各国を見渡したときに、きちんとした軍隊を持ってないのは日本だけです。

 

世界の非常識

日本海からほんの少し離れたところに、休戦状態が続いている半島があります。北の将軍様のところでは、毎年のようにミサイルを飛ばし、核実験もバンバンと行っております。その背後には軍事大国中国とロシアが控えております。

そんな中で日本は自前の軍隊を持っておりません。世界の常識から考えると非常識でしょう。しかし私たちは、この状態を「平和」と呼んでいるのです。それが75年、続いているのです。

私たちが「平和」と呼ぶその中身は、強い人に守られている、ということです。私たちはその人の後ろに隠れながら、その人の言うことを茶坊主のように聞き、殺されずに生きながらえてきたのです。

 

国連神社

日本人が才能豊かであることは知っています。私も私の助手も才能があります。ところが私たちはピストルの撃ち方も知らないし、刀の使い方もわかりません。そもそもピストルの保持も、刀の保持も許されておりません。


オバマさんはかつて、国民から銃を取り上げようとしましたが失敗しました。米国民から猛烈な反対を受けたのです。彼らは「銃」でイギリスから独立を勝ち取ったと信じております。

では日本はどのように自国を守るのでしょう。それは国連様、米国様へのお願いです。お願いして守ってもらうのです。日本人は国連と聞くと頭が上がりません。国連が何かしてくれると思っております。同じように米国にも頭を下げ続けておりまして、いろんなことをお願いしております。ですから米国に見捨てられないよう、その茶坊主として懸命に働くのです。

 

西鋭夫のフーヴァーレポート
国際政治とリーダーシップ(2020年1月下旬号)-7


この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。