薬と毒の間

by 西 鋭夫 September 11th, 2023

使用方法

大麻を体の中に入れるには大きく2つの方法があります。1つはタバコのように吸う方法です。これだと肺からその成分がどっと入ってきて、血流に乗り、一気に体全体をめぐります。これは早いです。瞬間で効いてくるのがわかると言われています。

吸う時間も大抵はほとんどかかりません。多くの人はタバコの薄い紙にマリファナを少し入れて巻き、そこに火をつけて吸います。ただ、今のマリファナは品質改良されておりまして、例えば小指ぐらいの大きさのマリファナのタバコだとすると、実際に吸って気持ちが「ハイ」になるまでは、2ミリか3ミリほどが必要と言われています。すなわち1、2回吸うだけでOKのようです。タバコのようにプカプカ吸わなくても良いのです。

この方法を嫌がる人は、食べて吸収します。アメリカでは大麻の成分が入ったチョコやクッキーなども販売されておりますから、それらを食べるわけです。食べると胃に入っていって消化され、そこからその成分が血流の中に入ってきますので、吸う場合に比べて時間がかかります。30分から1時間と言われております。

 

毒薬

どんな薬でも摂りすぎると毒です。薬と毒の間、これは実は想像以上に狭いのです。アスピリンでも摂りすぎると血が止まらなくなります。それと同じです。

私はマリファナを吸ったことがないので、具体的なことは言えないのですが、コーヒーが大好きでして、エスプレッソを自分で作って、毎日3、4杯は飲んでいました。あれこれ50年間飲み続けておりました。そうすると、ある朝、手が震えていることに気づきました。カフェインの取りすぎでしょう。その日以来、飲むことをやめましたらピタッと止まりました。

コーヒーもマリファナも中毒性があるわけです。体が求めるたびに、カフェインやマリファナを摂取していては、癖になってしまいます。それがないと、イライラしたり、落ち着かなくなってしまうのです。そんな世界なのです。禁断症状に任せた行動は非常に危険です。

 

アルコールとの併用

先ほど「ハイ」になるまでの時間について話しましたが、そもそも「ハイ」とはどんな状況なのか、何がどう変わってくるのか、そしてそんな状態になった時は何に気をつければ良いのか。こうしたことも、しっかりと伝えていかないといけません。特に若者らへの教育は重要です。

アルコールと併用することは極めて危険です。アルコールを摂取すると、血のめぐりが良くなりますね。その状態でマリファナを体内に入れると、その効果がワッと身体中に広がるだけでなく、アルコールも手伝ってさらによく効いてきます。この状態は体への負担だけでなく、認知・認識能力という点でもかなり危うい状態です。大抵の人はお酒とマリファナを混ぜませんし、私が知っている人たちも決して混ぜたりはしていません。

それがいかに危険かを理解しているからです。大麻ビジネスは流行るでしょうが、同時に若者らへの教育をいかに実施していくかも大きな課題と言えるでしょう。

 

西鋭夫のフーヴァーレポート
大麻ビジネス(2019年5月下旬号)-5

 

この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。