核抑止論

by 西 鋭夫 November 3rd, 2021

核実験


北朝鮮はこれまで2006年、2009年、2013年、2016年と3年おきに核実験を実施してきました。2016年ではすでに2度目となっております。北朝鮮がこの時期に再び核実験をしたことは、北東アジアにおけるアメリカの影響力に大きく関連しています。

北朝鮮は今のアメリカを脅威と思っておりません。日本の辺りで喧嘩が一番強いのは北朝鮮です。もちろん中国のほうが強いですけど、中国はそもそも喧嘩するつもりはありません。「文句があるのか!」と、北朝鮮に言われたら皆さん、黙っています。

北朝鮮は日本のお金と技術が欲しくて、日本に脅しをかけています。脅しをかけながら、日本が少しでも甘い言葉をかけると、北朝鮮はホイホイとその話に乗っていく。この方法で、どれだけ騙されたか。日本はまだ希望があると思っていますので、北朝鮮はこれを延々と繰り返すことができる。


核技術温存論は本当か


北朝鮮と国境を接している韓国は、北朝鮮の動きに敏感です。日本ではあまり知られておりませんが、韓国は原子力大国です。24もの原子力発電のプラントが起動しており、建設中のものもあります。

この原子力に目をつけて、「韓国が原子力発電に力を入れているのは、北朝鮮へ対抗するために核技術を温存しているのではないか」といった議論が聞かれます。しかしこれは20年以上、古い話です。いざとなったときに、核兵器がなかったら手遅れです。例えば、韓国も日本もおそらく今、大量のウランに、プルトニウムを持っていますが、ここから核爆弾を作るには時間がかかるでしょう。

核抑止力を働かせるため、アメリカは巨大な原子力潜水艦を1年間潜ったままの状態で日本海、太平洋近辺をぐるぐると潜水している状況でしょう。その数は10隻以上です。なぜこんなことをするのか、といったら核攻撃にすぐさま報復するためです。


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未来の戦争


これからの戦争は、どこかの領土にどこかの軍が上陸して、バンバンと撃ち合う形ではなくなるでしょう。ひょっとしたら兵隊を見ないまま、巨大なドローンが出てきて、そこからミサイルが撃ち込まれる、そうした戦いになると思います。そういう時代に「原発を持っていること」は何も意味をなさないばかりか、敵の標的にもなりえます。

原爆を買おうと思ったら買える世界です。売りたい人は、この世の中にいっぱいです。貧しい国ですが、パキスタンはすでに核保有国です。インドも保有しているでしょう。イスラエルもおそらく持っているでしょう。経済大国で核を持っていないのは、もう日本くらいではないでしょうか。



西鋭夫のフーヴァーレポート

2016年10月上旬号「北朝鮮の恐喝外交」-3




この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。