祝日と時間支配

by 岡崎匡史 July 17th, 2021

blog223.jpgFrom: 岡崎 匡史
研究室より

2021年は、東京オリンピックの影響で祝日が変更されている。

海の日は、7月19日から7月22日。
スポーツの日は、10月11日から7月23日。
山の日は、8月11日から8月8日。

オリンピックのために、休日まで変更された。

本来、日本の「祝日」は、神道や皇室の儀式に根づいており、祭祀を執り行う「祭日」(さいじつ)である。

たとえば、2月11日の「紀元節」は「建国記念の日」。11月23日の「新嘗祭」は「勤労感謝の日」というように、、、

GHQの祝日変更


マッカーサー元帥率いるGHQは、日本の「休日」には神道的意義があると見なした。

占領下の文部大臣を務めた安倍能成(あべ よししげ・1883〜1966年)は、「紀元節」を保持するために抵抗を試みる。


「神話と歴史は混同されてはならないが、神話もまた存在理由がある」「どの国でも古代は神話につつまれているのが常であり、日本の国もまた、たとえ2600年でないまでも、非常に古い国であることはたしかであろう」「皇室を常にその中心として来たことも、たしかである。ゆえに、その意味で紀元節を記念し、さらに新しい日本の建設という意味で、この日を祝うべきである」


安倍大臣は、祝日の意義を把握しており、日本の伝統を強く意識していた。しかし、安倍大臣の主張は、GHQの前では受け入れらない。

時と権力


なぜ、GHQはこれほど日本の祝日に敏感になっていたのか?

それは、祝日を支配することが、権力に結びつくとを理解していたからだ。

たとえば、7月は英語で「July」。これは、古代ローマの英雄ユリウス・カエサルに基づいている。8月の「August」は、古代ローマ初代皇帝アウグストゥスに由来する。

とくにキリスト教では「暦」は重要であった。イエス・キリストの復活を祝う日は、いつなのか、という信仰上の問題がある。正確な暦の作成には、天文学が不可欠。1582年に「グレゴリオ暦」が完成した。

暦を把握する天文学の知識は、古代文明で不可欠の知識。「月蝕」を予言すれば、権力者にとって、民衆から尊敬を集めることができる。時間や天気や気象は、「神の領分」と捉えられてきたからだ。

さあ、2021年の休日の変更。いったい、あなたの時間を支配しているのは誰なのだろうか?


ー岡崎 匡史

PS. 以下の文献を参考にしました。
・神谷美恵子『神谷美恵子著作集9 遍歴』(みすず書房、1980年)
・安倍能成『安倍能成 戦後の自叙伝』(日本図書センター、2003年)
・堤之智『気象学と気象予報の発達史』(丸善出版、2018年)

この記事の著者

岡崎匡史

岡崎匡史

日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。

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岡崎匡史

岡崎匡史

日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。