戦争と人種差別

by 岡崎匡史 February 1st, 2020

blog142.jpgFrom: 岡崎 匡史
研究室より

人間の考えや思考は、時代に大きく左右されます。

人々の「時代精神」を形成しているのは社会です。マスコミであったり、企業であったり、政府の思惑など、さまざまな意見が混ざりあっている。

人間は「社会的動物」であると言われているように、他者の思考が、自分の意見に多大な影響を与えます。自分の考えが、他者にコントロールされていることに気づきにくい。

集団意識


戦争という状況下に人間が置かれると「集団意識」が生まれてくる。

国家は、兵士に軍服を着用させ、行進の訓練をさせる。仲間と一緒に行動することによって「集団意識」が生まれ、「集団」に従うことは良いことだと思うようになる。人間の個性を失わせて、自由を奪い、全体主義へと歩み出す。

人間の本能である「仲間・同胞意識」が、戦争という非日常の世界で醸成されていく。

差別と全体主義


太平洋戦争中、アメリカでは「良い日本人は死んだ日本人だけだ」(The only good Jap is a dead Jap)」という言葉が流行った。日本人は「別の人種、別の動物」と見なされ、「猿や害虫」とたとえられた。

その一方で、日本も英米人を「獣性、怪物、鬼、畜生」と見なし、露骨に敵意を抱いた。

戦争中に敵国の兵士を極悪人に仕立て上げ、味方の勝利を喜ぶのは人間の自然な感情ともいえる。人間は、無意識に「優劣」をつけて、自分たちと異なる文化や違う民族を「劣る」と判断したくなる。

人間は「教育」を通じて自己を形成していくが、その教育内容は自由主義といえども、戦時下では「敵」に対して過剰反応を引き起こす。この動きに反発する「自己」は芽生えるが、抵抗することのできない全体主義の波にのまれていく。

全体主義の大波が、日米双方で同時に起きていた。


ー岡崎 匡史

PS. 以下の文献を参考にしました。
・林成之『〈勝負脳〉の鍛え方』(講談社、2006年)
・スラヴォイ・ジジェク『ラカンはこう読め!』(紀伊國屋書店、2008年)
・シーラ・ジョンソン『アメリカ人の日本観』(サイマル出版会、1986年)
・ジョン・W・ダワー『容赦なき戦争』(平凡社、2001年)

この記事の著者

岡崎匡史

岡崎匡史

日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。

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