クジラと差別

by 岡崎匡史 April 13th, 2019

blog103.jpgFrom: 岡崎 匡史
研究室より

至福の瞬間、それは食事。
朝御飯を食べたら、お昼は何を食べようかな。

ランチを食べたら、夕飯はどうしようかな。
牛、豚、クジラ、犬、どれも美味しそう!?

食文化とタブー

失礼。犬はペットでしたね。
でも、犬食文化を持った国もあります。

ヒンドゥー教では、牛は神聖な生き物。牛を食べることはタブー。だからといって、インド人が他国の人たちに向かって「牛を食べるな」とは言いません。

それなのに、どうして欧米諸国は日本人に向かって、「クジラを捕るな、食べるな」と文句を言ってくるのでしょうか?

科学と信仰

クジラは神聖な生き物であり、人間が手をかけてはならないと信じている人たちを説得することは容易なことではありません。

もちろん、「シロナガスクジラ」や「セミクジラ」などのように生息数が減少し、保護が必要な種類もいます。しかし、「ミンククジラ」や「イワシクジラ」などは、生息数が上昇している。

科学的論拠をもって、クジラの生息数が増えていると反論しても、聞く耳を持ってくれません。反捕鯨国は、クジラを食べることは「野蛮」だ。文化的に劣っていると日本を非難する。

どうも納得がいかない、、、

食のナショナリズム

クジラをめぐる国際政治は、日本人の眠っているナショナリズムを刺激します。

歴史をさかのぼれば、クジラからとれる鯨油をランプの灯油として使い、クジラを乱獲してきたのは西洋諸国なのに。日本人は鯨を食料としてきたが、西洋人は鯨を神聖なものではなく製品と見た。

クジラの話題になると、日本人の鬱積した感情が噴出する。
クジラをめぐる偏見・差別はどこに根ざしているのだろうか。



ー岡崎 匡史
PS. 以下の文献を参考にしました。
・吉岡逸夫『白人はイルカを食べてもOKで日本人はNGの本当の理由』(講談社、2011年)

この記事の著者

岡崎匡史

岡崎匡史

日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。

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岡崎匡史

岡崎匡史

日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。