弱民国家と犯罪大国

by 西 鋭夫 September 3rd, 2018

弱民大国日本


日本は、なぜ勇気もなく夢もロマンもない国になっていったのだろう。

アメリカの占領(1945〜52年)のせいだ、と日本はいう。アメリカが日本人を骨抜きにし、弱い民にしたと嘆く。

その通りだ。

だが、戦争が終わって60年近くも経った。占領が終わって、50年も過ぎた。日本人の生き様をまだ「アメリカのせい」にするのか。日本は奇跡とまで賞賛された経済復興には確固たる白己認識を持っているのだが、「根性」「信念」「魂」不在の話になると「責任を取れ」と非難の指を太平洋の東へ向ける。日本の現状、日本の精神貧弱は、我々日本人の責任だ。

私は、米国讃歌を歌っているのではない。在米体験を通して、修飾語のついていない世界帝国を紹介したいと思い、この文を書いている。アメリカが弱くなってくれればいいという幼稚な願望は持っていない。


犯罪大国・アメリカ


数多くの重大な問題を抱えているのも米国だ。犯罪の統計を見てみれば、愕然とする。

日本総人口の2倍(2億6000万人)の富める米国で、200万人が監獄に入っている。この数は貧困なロシアと同じで、冷戦でいがみ合っていた両国に囚人が最も多い。世界で最も自由な国と自由でない国に、囚人が多いのはなぜだろう。人種別に見ると、米人口の12%である黒人が囚人総数の60%近くも占める。

殺人も日本(1391件)と比べると米国は天文学的な数字である。

2000年の米殺人総数は、1万5517件。半分以上は銃で殺された。


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無法地帯


被害者の50%は、黒人である。黒人の若い男(15歳〜24歳)にとって殺人が死亡の最も大きな原因である。25歳から44歳の黒人の男にとっても、殺人が第3番目に大きな死亡の原因である。黒人の若い女(15歳〜24歳)にとって、殺人は第2番目に大きな死亡の原因である。

警察官も年間平均で79名が殺される。銃で撃ち殺される。

日本の殺人犯逮捕率は95%。米国、60%(『警察白書』平成13年版)。

さらに、女性に対する性的暴力も日本(2260件)では想像もつかないほど多い。2000年に米警察に報告された性的暴力は、26万1000件である。実際にレイプ(強姦)されたと警察に届け出た件数は、9万0186件。レイプの半分以上は届け出ないと言われている。この9万のレイプでの逮捕率は、47%である。日本でのレイプ逮捕率は、68.1%。




西鋭夫著『日米魂力戦』

第5章 戦争と平成日本 -15



この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。