国辱に悶えるアジア

by 西 鋭夫 May 10th, 2018

香港返還


香港は、99年経った1997年7月1日に、強い中国へ返還された。


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香港の様子


ひどい屈辱を150年間も舐めさせられた中国は、イギリスに「謝罪せよ、償いをせよ」と要求したのか。

中国は日本帝国の「犯罪」について執拗に攻撃を続けているが、2度にわたる屈辱的なアへン戦争を仕掛けられ、戦利品として香港を100年も植民地にされ、中国人を麻薬廃人にして金儲けをしたイギリスに文句も言わない。

中国はイギリスの歴史教科書を熟読し、抗議をしているのか。白人に占領され虐待されるのはかまわないが、中国海岸の沖にある小さな島の住民に負けたのが耐えられないのだろうか。


消えたプライド


日本も日本だ。

60年間も日本をこき下ろし、日本人の生き様について悪口を世界中にまき散らし、日本の教科書を書き換えろ、日本の歴史的認識はまだ間違っているとまでの内政干渉を憂さ晴らしか娯楽として楽しんでいる中国に、「援助金」なぞ出すべきではない。

経済的に大成長をしている中国は、大不況の日本からの金を取り、さらに巨大な軍隊(常設兵士400万人)を維持し、日本の金と日本の技術を経済に注ぎ込み、日本経済を踏み潰すつもりなのだろう。笑いが止まらないとは、中国が日本を見たときに使う表現だ。

中国は強力な軍隊を維持する金はあるが、日本から援助金を恵んでもらわなければ生活ができないほど貧困なのか。中国にも誇りがあるのなら、日本の金を受け取るべきではない。



押し黙る米英


米政府も英国政府も、日中関係の異常さを知りながら、無言である。日本と中国がいがみ合い、両国とも弱くなってゆくのを待っているのだろう。中国と日本がいがみ合えば、アジアに権力の真空地帯ができるので、そこへ軍事・経済大国アメリカが割り込み、争いを収め、アメリカの威信を世界に見せつけるという筋書きなのだろう。外交(国欲)の世界には、いつまで経っても「進歩」というものはない。

私の友人たちを含め、米国一般市民は、中国が日本から6兆円の援助金を貰ったことなぞ全く知らない。日中関係についての知識は、日本軍の「南京大虐殺」だけである。

あの事件があたかも周到に計画された策略かのように、アメリカのマスコミに絶えず登場する。私が反論を試みても、友人たちまでが「説得力のない言い訳をしている」と興味を示さない。



西鋭夫著『日米魂力戦』

第4章「国の意識」の違い -22





この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。