土地改革

by 西 鋭夫 July 12th, 2015

農地改革


日本人労働者を資本主義者にするというマッカーサーの思いからすれば、彼の土地改革は輝かしい成功だった。

占領開始から3カ月目、1945年12月9日、マッカーサーは、「日本帝国政府は、民主化の復興と強化への経済的障害を排除し、人間の尊厳に対する敬愛の念を確立し、日本農民を数世紀に亘り、封建的抑圧に隷属させてきた鎖を断ち切り、土地を耕作する農民がより平等な機会を与えられ、労働の成果を収穫できるよう、しかるべき措置をとれ」と命令を出した。

これは不在地主が、耕作している小作人たちに農地をただで手渡さなければならないという意味。不在地主たちの寛大さに対する報酬は、マッカーサーが「世界最良の耕作者」と称賛した農民の顔に浮かんだ狂喜を寂しく見ていることだった。

マッカーサーは共産主義者か


マッカーサーは農地改革の成果を、『回顧録』の中で次のように評価した。

「土地の再分配は、日本農村地帯における共産主義の浸透を防ぐ強固な防壁を築いた。今や、この国の農民1人1人が正当な権利を要求できる資本家になった」

しかし、不在地主への補償は何もなく、日本の「農地改革」自体が共産主義的であるという批判が、アメリカ国内で一時的だが、高まった。

『ニッポン日記』と題されたベストセラーを書いたマーク・ゲインは、農地改革につき「書きすぎた」ため、マッカーサーの逆鱗(げきりん)に触れ、ひどい目に遭わされる。

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「戦争に敗けたからと言って、なぜ何百年も持っていた土地を取り上げるんだろう」と不在地主だった私の母は時折呟(つぶや)いていた。

この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。