米日関係

by 西 鋭夫 February 10th, 2015

属国の運命


1945年から1952(昭和27)年まで続いたアメリカの占領中、アメリカは日本を信念も自信もなくしてしまう国に仕立て上げ、自衛もできない丸裸の国にした。アメリカに頼らなければ生きてゆけない国に仕立て上げた。

日本中にあるアメリカ軍の大きな基地は、日本が「提供」しているのではなく、アメリカ軍が戦利品として「没収」したものだ。

アメリカ占領軍は、未だ日本から立ち去らず、「属国・植民地」の動静を監視している。その監視費用(年間5000億円)も日本が出す。「広島と長崎の夏」の前、日本の国土に外国の軍事基地はなかった。
 
他国の基地があるのが異常なのだ。


厚木飛行場に降り立ったマッカーサー

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それどころか、職業軍人マッカーサーが妄想逞しく、争いのない「天国」を夢見て、6日間で綴った作文を「侵すべからざるの聖典」、憲法と崇め、いかに世界が、日本の現状が激変しようとも、マッカーサーの「夢のまた夢」にしがみついているのが、今の日本の姿。

腹も立てず、侮辱も感じず、今の日本が「平和の姿」だと独り善がりの錯覚をしている。

アーリントン墓地と靖国神社

日本の首相も侮辱を感じないのだろう。首相が「参勤交代」をするかのようにアメリカを訪問し、ワシントンDCにあるホワイト・ハウスに招待され、その後必ず隣りのバージニア州アーリントンにあるアメリカの聖地、国立墓地(National Cemetery)と無名戦士の墓(Tomb of the Unknown Soldier)に詣る。連れていかれる。

この墓地にアメリカの英霊が眠っている。日本の首相は花輪を捧げる。かつての敵に、敬意を払うことは礼儀を弁えた大人の姿だ。

日本にもアーリントン国立墓地に匹敵する厳粛な場所がある。ところが、首相が帰国して、祖国の英霊が眠っている靖国神社に足を運ぶのか。運ぶ首相もいる。

だが、近隣諸国の感情を逆撫でしてはいけないと細心の気を配り、あたかも悪いことをしているかのように人目を避け、終戦記念日を避け、こっそりと英霊に黙祷をする。
 
近隣諸国は、待ってましたとばかり「戦争犯罪人を擁護している」と日本を攻撃する。

日本の兵士たちは、理由はどのようなものであれ、祖国日本のために死んでいった。この人たちに敬意と謝意を払うのは、生きている日本人としての礼儀である。日本国の首相として、最小限度の礼儀だ。

敵兵の英霊に頭を下げ、祖国の兵を無視する国は、最早「国」としての「誇り」も、いや、その「意識」もないのだ。

アメリカの大統領も日本に来る。彼らは靖国神社に表敬訪問しない。そんなものが東京にあるのも知らないのだろう。あってはならないと思っているかもしれない。ここに、アメリカと日本の真の関係が見える。

繰り返す。

「日本占領」は、アメリカ外交史上最高の「成功物語」。

この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。