最悪の人事
才能のある人材が埋もれないためには、人事がその人の才能を見抜く必要がある。しかし、これが難しい。私は極端に申し上げますと、良い人事をほとんど見たことがありません。とりわけ、この二、三年で見たもの多くは最悪の人事です。
名前は出しませんが、ある有名な大学に、ある自動車会社のお偉いさんが入ってきました。大学の経験は何もありませんよ。にもかかわらず、その人が人事権を振り回して、大学内ですでにできてきた組織をバンバンと変え始めました。元々あった組織は悪い組織ではありません。順調に動いていたのです。それをバンバンと変えた。
何が起きたか。私が頼りにしていたコンピュータの天才のヤマモト君ですが、急に部署変えです。一五年ほどコンピューター室にいて、絶えずドジっていた私を、「ああ西先生、ここはカチャカチャとするとですね。はい、直りました」とやってくれました。その男が総務に行き、何をして良いか分からなくなったと言っておりました。こんな破茶滅茶な人事を4年間もされました。
トップの質
皆さんも、よく新聞でよくご存知でしょう。東京にある有名私大の理事長が捕まって有罪です。
誰がその組織のトップになるのか。これが本当に重要です。その大学の歴代理事長たちが悪かったということではありません。私も好きな人がおりました。しかし新しい方に変わって、そこから俗にいう独裁状態です。お金と賄賂と脅しで頂点に立たれた方でして、トップになってからも独裁者として動かれました。そこに警察の手が入って、捕まった。
その理事長に媚びた方々も知っております。権力に媚び、金に媚びる。それはこういうことなのかと理解しました。大学の先生たちも媚びておりました。彼らは学生に何を教えているのか。伝えているのか。恥ずかしくないのでしょうか。それを見ていて、情けないやら腹が立つやらでした。

人間の値札
昔、CIAの方が教えてくれましたが、人間にはそれぞれマネー・セックス・ステータスといった値札がついているようです。多くの人間はこれらのいずれかで落ちる、と話しておりました。私はこれを、目の前で目撃しました。本当に自ら落ちていくのです。
これはどこにでもあります。中国やアメリカのスパイたちも、日本の高級官僚にこれらを持ち出してすり寄ってくるのでしょう。会社の中でも、おべんちゃらが上手で、マネー・セックス・ステータスを使って上にきた人たちは、その親分がいなくなったらおそらく集中砲火を浴びると思います。
先にあげた大学では、捕まった理事長に雇われた方々は悲鳴をあげています。もう半泣き状態です。面と向かって「おまえ、辞めろ」と言われています。
ですから皆さん、生き延び方です。とにかく意味もないお世辞を言わないようにしましょう。これは本当に気をつけたらよろしい。それをするとはね返りを受けます。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2022年8月下旬号 出世と人事-5
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

