神話の中の麻
皆さん、日本人と大麻はどれだけ深くお付き合いがあったかご存知でしょうか。それはもう切っても切り離せないほどの関係です。私たちの暮らしと日本文化の土台と言っても良いくらいだと思います。天照大御神(あまてらすおおみかみ)の世界にも大麻が出てきます。神道の儀式にて麻が使われてきたのです。
「生」と「死」に関わる重要な局面でも麻が使われてきました。生まれた時には麻で包まれ、麻の衣類を着せてお祝いしました。へその緒を切るのも、麻でできた紐で切っておりました。人が亡くなれば、麻の着物を着せて送り出しました。大切なものを記録する紙も麻でできておりました。
古代日本のある時期を、私たちは縄文時代と呼びますが、縄文の縄(つな)は麻縄のことです。麻縄を土器に巻いて、縄の形を付けたのです。横綱の綱も麻綱です。麻の種はと言いますと、それは油として使われておりました。日本人は麻を余すところなく用いてきたのです。
密教
神道だけではありません。日本が誇る天才、空海と最澄が中国から密教を持ち帰りましたが、密教では瞑想や祈りのために麻が使われておりました。
お祈りの終わりに、大きく乾燥した大麻をその火の上でボッと燃やすわけでしょう。それで火を盛んに焚いて、その煙がもうもうと上にのぼり、下に降りてきます。その煙の中で僧たちは特別な状態になっていったのでしょう。瞑想の中で、極楽浄土への扉が開かれていったのです。
名前
日本人の名前にも「麻」という漢字が使われております。例えば、麻子さんや麻美さんなど美しい名前があります。日本において麻がいかに身近な植物であったかがわかります。
地名にも「麻布」(あざぶ)というように、麻という漢字が使われております。東京の麻布ですが、ここはもう東京の中でも一等地でして、貧乏教授なんかはそばに近づけません。それほど高級な土地なのです。
そこにある麻布警察署のシンボルは麻です。ジャケットにもそのワッペンが使われていたと思います。公的機関にも日本人と麻の関係を示唆するものが現在も残っているのです。
西鋭夫のフーヴァーレポート
大麻ビジネス(2019年5月下旬号)-6
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。