難民が通る道
日本のメディアはほとんど伝えていませんが、ヨーロッパに向かう難民たちが通る道が大きな問題になっています。
彼らは何を食べ、どこで寝ているのか。お手洗いはどうするのか。アメリカのニュースでは、難民たちが通る地域に住む人々が憤慨している様子が伝えられています。難民たちは、畑や公園、家の庭までもトイレに使うようです。
こうした実態をなぜ日本のマスコミは映し出さないのか。子供やお母さんの顔だけでなく、事実を映し出すべきではないのか。それを踏まえながら、難民受け入れの是非について論じるべきではないのか。
ヨーロッパの葛藤
ヨーロッパは今後、難民の受け入れを拒むようになっていくと思われます。そうすると、ヨーロッパを目指した200万、300万とも言われる難民はどうなるのでしょうか。
本人たちは、自ら進んで帰ることはないでしょう。そうすると、強制的にでも帰らせることが必要になります。強制送還です。しかし、そのためにも車や船、列車を準備しないといけません。死んでしまっては困るので、食事も与える必要があります。難民たちが脱走したりしないよう、監視も必要となります。予算措置まで含めると非常に大きな問題です。社会も大騒動に陥るのではないでしょうか。
すでに受け入れている難民ももちろんいます。ヨーロッパは彼らのための衣食住を提供しながら、社会保障や権利、教育などについても対応せざるを得ない状況に置かれています。経済が大変なときは、一番先に難民たちが首を切られます。これを世界の人権団体は批判しますが、自国民の生活を守る前に、難民の生活を優先して保護する国などありません。
日本の選択
では、日本はどうするのか。「可哀そう」だから、受け入れるのか。日本人は国内にいるテロリストの存在を忘れて久しい。オウム真理教は世界でもっとも先駆的で非道なテロリスト集団でした。難民を受け入れると、そうしたテロリストが日本社会に散らばっていく可能性が出てくるわけです。確率論的には非常に低いが、可能性は残る。
日本人は、爆弾や自動小銃を持ったテロリストや、自爆するテロリストに会ったことがありません。中東のテロリストはサリンガスではなく、爆弾を体に巻いて自爆します。スケールも手段も全く異なる。
難民がすぐに問題を起こすとは限りません。おそらく、最初の2、3年はおとなしく過ごしているのではないでしょうか。その後、行動を起こすでしょう。日本には多くの原発があります。警備が厳重であるといっても、本物のテロリストに会ったことがない日本人の想像力や対応策には限界があります。対難民政策は、国家安全保障政策と同じく重要です。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2015年11月下旬号「パリ同時多発テロ」− 4
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。