リーダーをどう育成するか

by 西 鋭夫 January 4th, 2024

感動なき政治

仕事において良きリーダーに恵まれると、人は幸せを感じるものです。これは国という単位でも同じことが言えます。魅力的で素晴らしい政治家に恵まれた国民は生き生きとしております。

さて、日本はどうでしょうか。フーヴァー・レポートを聞いて下さっている会員の皆さまから「国内にはお手本となるようなリーダーがほぼいらっしゃいません。先生、どうしたら良いのでしょうか」とご指摘いただきましたが、まさにその通りです。

この2~3年の政治において、皆さま、何か感動されたことがありますか。ないでしょう。これが大問題なのです。リーダーというのは、そもそも私たちが一目見ただけで「うわぁ」と惚れるような存在です。そいつが良いやつでも悪いやつでも、リーダーとはそんな判断を超越したところにいて、その人が「この方法でいきましょう」と言った時に、「そういう発想で、そんな国にしていってくれるのか」と私たちは感動するのです。

そんなことがこの数年、日本ではほとんど、おそらく一度もないでしょう。日本の総理大臣はそんな話をしませんし、出来ません。

 

人材の活用方法

私は長生きしておりますから、色々なリーダーを見てきました。日本の近現代史を振り返れば、素晴らしいリーダーたちがいなかったわけではありません。政治家にもいらっしゃいますし、民間にも大勢いらっしゃいます。でも、なぜか彼らは総理大臣にならないのですね。閣僚にもほとんど選ばれません。

ところが、アメリカではどうでしょう。ビジネスマンも大学の研究者たちも、どんどんと政権の中枢に入っていきます。できる人を採用する仕組みがあるのです。日本にはそれがありません。できる人を蹴落とすことに成功した人がリーダーとなっていくのです。

これは好き嫌いで言っているのではありませんよ。リーダーシップについて何か勘違いしているのです。それが日本の今のカタチです。ここに大きな危機感を持ってください。自分の直感を信じて、おかしいと感じたらそれを言ってください。

 

トランプ大統領の評価

トランプさんですが、彼も歴代の大統領とは違った形でリーダーシップを発揮しております。たとえばフーヴァー研究所は共和党のブレインたちがたくさんおられましたから、レーガンさんの時も、ブッシュさんの時も、多くの有名な先生がホワイトハウスに入っていきました。

しかしトランプさんは、いわゆるシンクタンクとか大学という象牙の塔を信用しておられません。意見は聞かれますが、彼は自分の考えを持っておられますから、「ここまで弱くなったアメリカをどうすれば強く出来るか。おまえたちは賢いはずだが、いったいこれまで何をやってきたのだ」と思っているのでしょう。

彼の周りにいるほとんどがスバ抜けてできるビジネスマンたちです。そんな人たちが国内外の政治と経済を動かしております。



西鋭夫のフーヴァーレポート
国際政治とリーダーシップ(2020年1月下旬号)-1


この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。