肉食社会の到来

by 西 鋭夫 September 1st, 2021

食生活の変化


15億人もの人口を抱える中国の食文化が、一気に欧米化するとどうなるのか。例えば5〜6億の中国人が一気にビーフステーキを食べ始めただけでも、国際社会に大きな影響を与えることになるでしょう。まずは牛が地球規模で足りなくなるはずです。欧米社会はステーキを食べても良いが、中国はダメと言えるはずもない。

食糧生産には水、太陽の光、二酸化炭素が不可欠です。今後、農業や畜産業に関わる水の消費量も爆発的に増加するでしょう。所得が増えて豊かになるにつれて食生活が変化し、肉を食べるようになります。中国を筆頭に急成長を遂げるアジア諸国の民は、戦後豊かになった日本人と同じように肉を食べ始めるのではないか。

中国が今後ももし経済破綻せずに、今の経済状態を保ち続けられた場合、彼らは財力にものを言わせて世界中の美味しいものを買い占めるでしょう。


寿司屋からマグロが消える


多くの中国人がマグロを食べ始めた。マグロのおいしさを知った。日本に旅行に来る人も、お寿司を食べます。美味しいことを知った中国人は、マグロの競りでも日本人より高い値段でマグロを買うわけです。

一番お金を持っている人が、一番美味しいものを食べる。中国が持ってなくて、日本が余るほど持っているのは、美しいきれいな水です。この水も中国に狙われている。


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危機意識の欠如


中国のお金持ちたちは今、日本のアルプスに目を付けて、どんどんと買い始めています。水が狙いです。日本の水脈が中国企業に買い占められたらどうなるのか。

問題の核心は中国人の爆買ではありません。それは日本人の意識にあります。我々には「食糧を守る」、「水を守る」という意識があるのか。ゼロでしょう。

日本政府にもないです。買われてしまった後、その重要性に初めて気づき、愕然とするのではないか。真の意味での国家安全保障に目覚めないといけない。




西鋭夫のフーヴァーレポート

2016年6月上旬号「人口爆発」-5




この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。