15億人を抱える国

by 西 鋭夫 August 30th, 2021

飢餓


地球全体の運命を決定づける国の一つは、四大文明の発祥地、中国です。人口について言えば、推定で13億人〜15億人と噂されていますが、正確な数字はわかりません。人口が多すぎたので一人っ子政策を実施しておりましたが、今年(2016年)廃止されました。

しかし、この人口を維持するための食糧が十分でなければ、人々は暴動を起こすでしょう。中国の飢餓や飢えの歴史は私たちの想像を絶する世界です。例えば1840年からアヘン戦争が始まりますが、その30年ほど前から戦争が終わる1860年ごろまで、中国では大規模な干ばつと飢餓が4回も起きています。


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肥沃な大地


清国は1700年代、治水事業で非常に大きな成功をおさめました。代表的な例は黄河です。黄河は内地から肥沃な泥を運んで来ましたが、常に反乱しておりました。洪水です。清国は徹底した治水技術により、黄河の反乱をおさえ、その水を管理できるようにした。これにより農地が拡大し、食糧増産が可能になったわけです。それと同時に人口が大きく増えていきます。それは億単位でのことでした。

しかしある年、突然雨の降らない日が続いた。1年ほど続いたと言われます。大干ばつです。そのため中国では5,000万人〜8,000万人規模で人が死んでいきました。1877年の飢饉はそれ以上のもので、「飛ぶ鳥もいなくなった」と言われるほど飢餓でした。死者は9,500万〜1億2,000万だろうと言われています。


東北の冷害


日本にももちろん飢餓はありました。年代が新しいところでは、明治維新のちょうど1年前に起きたものです。秋から雪が降り、作物が育たなくなった。そのため、徳川幕府のお膝元である江戸でも、人々が道端でバタバタと倒れていきました。ほかの人も弱っていますから、死体は置き去りです。

100年ほど前には、東北が大規模な冷害に襲われました。監察のために送られた武士が書き記したものを見ると、そこには牛や馬、猫、犬、生き物など、何もいなかったようです。人肉さえ食べていたと記録されています。



西鋭夫のフーヴァーレポート

2016年6月上旬号「人口爆発」-4




この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。