米軍は日本を本当に守るのか

by 西 鋭夫 February 3rd, 2021

日米同盟は機能するのか


米中大戦が万が一、起こった場合、米軍は日米同盟で謳われている通り、日本を本当に守ってくれるのだろうか。米国民の若者の血を流して、日本人を助けてくれるのか。

残念ながら現在(2015年12月)のオバマ政権下では「怪しい」と答えざるを得ない。オバマ大統領の政治的パフォーマンスは見事だが、彼には実行力がない。これは米国民、全員が知っている事実です。中国に反撃せよと言っても、何も出来ないでしょう。

アメリカは日本を守ることが出来ない。では、自衛隊が日本を守るのか。幸か不幸か、日本の自衛隊はアジア各国から崇められるほど「強い」と信じ込まれていますが、実戦経験がないことは致命的です。

東京はこのままでしょうか。中国大陸から日本列島まで、何十分で到着しますか。超高速のミサイルでは何分でしょう。考えるほどに恐ろしい。日本は、それほどに無防備な国です。


国家主権なき日本


「アジアにおける最も重要な米国のパートナー」に関する調査があります。これは日本外務省が米国人を対象に行ったものです。その結果を見ると、日本が58%でダントツ一位、次いで中国が24%、韓国が13%、ロシアが1%などと続きます。

統計によるとアメリカはアジアの中で日本を重視していますが、「重視する」という中身自体が大きな問題です。とりわけ、「重視する」ことは「評価する」ことと異なります。

重視しているからこそ、米国は日本を属国のように扱うわけです。米国にとって日本は、アジアにおける第一子分です。この優秀な子分を70年間ずっと大切に育ててきた。反抗して米国から離れないように、しっかりと手綱を握ってきたわけです。それが「重視する」ことの内実です。日本には真の意味での国家主権はない。


大国ロシアを味方に


そんな状況下で日本はどうすれば良いのか。妙案の一つは、ロシアを頼ることです。ロシアとの協力関係を密に築いておくことが、少なくとも中国への牽制になります。

安倍総理とプーチン大統領は非常に仲が良い。これを、さらに仲良くされたらどうか。北方領土の話はせずとも、シベリア開発でガッチリと肩を組み協力する。そして援助額をドンと増やす。シベリア開発が軌道に乗ると、北方領土は問題でなくなるでしょう。日本はプライドで返してほしいと考えていますが、求めるだけでなく、プーチン大統領が欲しいものを提示しないといけない。

アジアの将来を握る真のキー・プレイヤーはプーチン率いるロシアです。


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西鋭夫のフーヴァーレポート

2015年12月上旬号「南シナ海の情勢」− 7




この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。