全面講和論、敗北

by 西 鋭夫 February 26th, 2017

大学人の宿命


南原総長は、5月13日、全国大学教授連合の第7回総会(明治大学)で、会長として演説し、

「新憲法によって保証された学問の自由を、大学教授は責任をもって守らねばならない。大学教授の責任は基礎的学問の確立と現代の緊急的課題の研究である。......大学人は戦時中のような妥協と譲歩とを繰り返すことなく、真理のために敢然と進まねばならない」

と宣言した。



論争決着


朝鮮戦争が、「全面講和」か「単独講和」かの論争を急速に終わらせた。

全面講和とは、トルーマン大統領がサンフランシスコでアメリカの宿敵スターリン、毛沢東と抱き合うことを意味した。

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毛沢東とスターリン


吉田はこれを、1950年7月11日の記者会談で次のように説明した。

「共産党は別として、永世中立などの念仏を唱えているものは日本の早期講和を害し、世界の誤解をまねくことになる」。

記者 「朝鮮での戦いで日本国民が動揺しているのではないか」

吉田 「動揺する理由はない。......平和国家であり、平和のために努力する日本、しかもこのような物のない国にドロボウが入れば逮捕されるだけだ。ここに爆弾を投げるものはあたかもエデンの花園でリンゴを食べ、そして天罰をくったのと同様に天罰テキメンであろう」



占領下日本の命運


記者 「国連軍に日本は協力するのか」

吉田 「協力したいといっても占領下では積極的には何もできない。しかし軍事輸送とかあるいは米国軍隊の通過を妨害するものがあれば取り締まるとか消極的な協力はできる」

日本国内で共産党がテロやストライキをすれば、徹底的に取り締まると言っているのだ。

シーボルド政治顧問は、国務省に「朝鮮戦争はJCP(日本共産党)が強く提唱している完全平和、中立の理論の無益さをさらけ出させた」と報告した。


この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。