From: 岡崎 匡史
研究室より
GHQの情報統制の代名詞といえば、「新聞検閲」(プレスコード)。
発禁処分を恐れて、GHQを非難するような記事の掲載は差し控えられた。
GHQ占領下、日本のマスコミは、「報道の自由」を渇望していた。だが、その内実は日本に民主主義を根付かせるため、GHQにとって不都合な情報を規制するという矛盾をはらんでいた。
とはいえ、マスコミに対する規制は占領下にはじまったことではない。戦前では、日本海軍・陸軍に関する行動や戦略を新聞や広報に掲載することは禁ぜられていた。軍事行動を掲載する場合は、事前に陸軍大臣・海軍大臣の許可が必要であった。
吉秘発第四五〇号
昭和十二年八月十九日
吉川警察署長
各 青年学校長 小学校校長 愛国婦人会長 国防婦人会長 殿
新聞記事取締に関する件
七月三十一日付陸軍省令第二十四号及八月十六日付海軍省令第二十二号を以て新聞紙其の他村報広報団法報等に艦隊艦船又は部隊の行動具他軍機軍略に干する事項掲載に干し取締ることと相成候に就ては御承知相成度尚之等の事項は新聞紙村広報団報等に掲載せんとするときは遺憾なきを期する為め事前に当署へ御打合せ相成様致度存候
追而各省令左記の通りを有之
陸軍省令第二十四号
新聞紙法第二十七条に依り当分の内軍隊行動其他軍機軍略に干する事項を新聞紙に掲載することを禁ず 但し陸軍大臣の許可を得たるものは此の限りに非ず
附則
本令は公布の日より之を実施す
昭和十二年七月三十一日
陸軍大臣 杉山 元
海軍省令第二十二号
新聞紙法第二十七条の規定に依り当分の内艦隊、艦船、又は部隊の行動其の他軍機軍略に干する事項を新聞紙に掲載することを禁ず
但し豫め海軍大臣の許可を得たるものは此の限りに非ず
附則
本令は公布の日より之を施行す
昭和十二年八月十六日
海軍大臣 米内 光政
この記事の著者
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。