テロリスト安住の地
日本人の多くは「日本ではテロなんて起きないだろう」、「仮に起きたとしても、自分だけは大丈夫だろう」と考えています。しかし、日本はテロリストにとっては安住の地、いわば天国です。
大昔に私を口説いてきたCIAが、「日本はスパイにとってのパラダイスだ」と言っていました。私たち日本人は無防備なのです。体を守る道具もない。気持ちの面でも、考え方の面でも無防備です。北海道から九州までの日本海側を誰が守っているのでしょうか。警備隊はいますか。レーダー網は張ってありますか。日本の海岸線はザルです。
テロリストが入ってきて最初に攻撃するのは、東京の地下鉄や、各地に点在する原子力発電所でしょう。「守られている」と言われていますが、パリでの銃撃戦をもう一度よく見て欲しい。手榴弾が飛び交い、自爆者がいる状況で、閑散とした原子力発電所を誰が守るのでしょう。一般人とテロリストの区別がつかない中、東京の地下鉄を誰が守るのでしょう。
水さえも標的に
繁華街も狙い目です。新宿や渋谷、銀座、日本橋など、さらには首都高や新幹線なども標的にされるのではないか。昨日、永田町に出かけましたが、多くの警察官が立っておりました。テロリストはわざわざそんなところには行かない。何も警戒してない、安心しきった町や地域が標的になるのではないでしょうか。
爆弾を使うことがテロの全てではありません。例えば、日本の水は全く警戒されておりません。大都会の人々が使う水源に、猛毒が入ったビンを2、3本、ぱんと割って入れるとどうでしょう。もちろん、検査をしていますから、引っかかります。調べた結果、致死性の強い物質が入っていたことがわかったとします。そのとき日本はどうなるのか。
安全のために、全ての配水が止まります。例えば東京で、大阪で、水が一瞬のうちに使えなくなるわけです。考えただけで恐ろしい。
移民論を問う
テロリストたちは日本を安住の地と定め、そこを拠点に世界各国・地域で活動を行うようになることも考えられます。日本にはすでに、相当程度のアラブ系住民が入っております。特にイランとは原油を通して、緊密な協力関係を築いてきました。
日本に入ってきた一般的な移民たちが、テロリストとして育っていく可能性も否定できません。日本人は八百万の神を信じていますが、この発想は一神教の世界では通用しません。神のために命を賭すことができる人々が日本にも大勢、住んでいることを忘れてはいけない。些細な喧嘩が、宗教観の違いを先鋭化させ、対立や暴力に発展する可能性もあります。
「人口が減っていく日本には移民が必要だ」という議論をよく聞きます。これに対する反論もよくわかります。しかし私は、ロボットを賢く使うという選択肢もあるのではないかと思います。笑う人もいるでしょうが、大真面目です。ロボットやAIの性能は人間の生産力の数倍から数百倍以上でしょう。現在の移民論は、技術の持つ素晴らしい可能性に蓋をしているように聞こえます。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2015年11月下旬号「パリ同時多発テロ」− 8
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。