From: 岡崎 匡史
研究室より
ダイヤモンドは、なぜ女性を魅了するのか?
なぜ、結婚指輪はダイヤモンドなのでしょうか?
しかし、冷静に考えて、恋愛や結婚にダイヤモンドが必須なのか。世の中にはダイヤモンド以外に、サファイヤやターコイズ、アクアマリンや翡翠、川に転がっている石ころやガラスの欠片だってある。
「婚約指輪はダイヤモンド」という思い込みは、神話なのではないか。
これが神話だとすると、いつ創られたのか?
セシル・ローズ
「婚約指輪はダイヤモンド」という神話の形成は、イギリス帝国の植民地政治家で有名なセシル・ローズが創設したダイヤモンド会社「デビアズ」によるもの。
デビアズは、広告会社に頼み「A Diamond is Forever」というセールスコピーを考案。人間の情緒を刺激した。しかも、男性が結婚指輪のプレゼントに、2ヶ月、3ヶ月分の給与を費やすべきだという広告を打ち出したのも「デビアズ」です。
その上、デビアズは市場へ出回るダイヤモンドの量を規制し、ダイヤモンドの数は限られており、貴重な石だと宣伝する。誰も欲しがらない小さな原石をきれいに装飾し、まるで特別で貴重な品として売り出したのである。
4つのC
ダイヤモンドの評価基準に「4つのC」がある。
「4つのC」とは、(1)「Color・色」(2)「Clarity・透明度」(3)「Cut・カット」(4)「Carat・カラット」のこと。
実は、「4つのC」が考案されたのは1960年代なのです。なぜ、「4つのC」が生まれたのか? それは、中流階級に小さなダイヤが貴重であるかのように思わせ、喜んで買ってもらうために考えられたマーケティング手法なのです。
たしかに、ダイヤモンドは光り輝き硬いが、耐久性は永遠ではない。本当に硬いと信じているのなら、金槌でダイヤモンドを叩いてみればよい。ダイヤモンドに対する神話と共に砕けていくだろう。
ー岡崎 匡史
PS. 以下の文献を参考にしました。
・エイジャー・レイデン『宝石 欲望と錯覚の世界史』(築地書館、2017年)
この記事の著者
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。