副流煙
たばこは、実際に吸う人だけでなく、その周りの人にも悪影響を与えます。私の妹の旦那もよく吸っていまして、冬になると自分の息子や娘たちが咳をすると言っておりました。寒いから咳をするのだろうと思いましたが違っていました。寒いので窓を閉めるでしょう。そうすると、部屋の中がまるで燻製状態となるのです。それでゴホゴホしていたのです。
これは酷いことです。今では分煙や吸えないレストランがほとんどですが、昔は喫茶店でもレストランでも、オフィスでも室内のほとんどの場所でたばこが吸えました。電車の中でもですよ。吸わない人にとっては最悪です。
たばこから出る副流煙は、子どもの正常な肺活動にも影響を与えますし、がんの心配もあります。実際、たばこを全く吸わない女性が、喫煙男性との結婚後に副流煙でがんになりやすいことも報道されていました。
こんなに問題のあるたばこですが、なぜやめることが出来ないのか。中毒性ももちろんありますが、それだけではなさそうです。
たばこ製造会社
悪影響があると知りつつも、やめられない。なぜか。その答えの一つは、さまざまな味付けをすることで、「美味しいから、もっと吸いたい」と洗脳されてしまっているのです。おいしさを求め、各企業は日々研究に没頭しております。メンソールだけでなく、チョコレートやイチゴなど、甘い香りがするものもあります。開発者は、5000種類ぐらいの添加物をあれこれと投入し、さまざまな味を作り出しているそうです。
葉っぱのままでしたら、それを乾かしたものなので、ただ苦いだけです。誰も吸いたがらないでしょう。特に女性ウケはしない。でも、甘くて美味しい味がしたらどうでしょう。吸いたい、美味しい、となるでしょう。
広告会社の参戦
たばこは南アメリカや北アメリカの原住民が葉巻にして吸っていました。それを見たあの超悪人のコロンブスがヨーロッパに持って帰って、それで貴族の間でたばこを流行らしました。たばこが広まっていったのはそこからです。
貴族が美味しそうに吸っているのを一般人が見て、自分たちも吸いたくなりました。でも高くて手が出せません。それで、葉巻ではなく、より小さなたばこが誕生しました。葉巻よりも吸う時間は短いのに、でもしっかりと美味しい、病みつきになる手頃なたばこです。
一般庶民がたばこを吸うようになるということは、消費量が増えるということです。高級品や嗜好品から、一般的な商品となっていくのです。商品として売れれば、十分な利益が期待できますから、そこには利権が生まれます。
この段階になりますと、どかどかと広告会社が入ってきます。たばこを吸うことがいかにカッコ良いか。広告の力は絶大です。たばこのイメージをいかようにも作ることができます。これにより、消費は増え、儲け額も大きくなっていきました。今はもうなくなりましたが、昔はたばこを吸う有名人や俳優のポスターもありました。これは宣伝ということだけでなく、それだけ儲けが出ているということの証でもありました。
西鋭夫のフーヴァーレポート
タバコ利権とファシズム(2020年2月上旬号)-2
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。