無能なリーダー
リーダーが明らかに間違っているとき、皆さんはどう対応しますか。無能なリーダーは、現代社会のいたるところにおります。国のリーダーにも、職場の上司にも、問題がある人たちがたくさんおりますから、お悩みの方もいらっしゃるでしょう。
では、無能なリーダーと一緒になってしまった場合はどうすれば良いか。よく質問を受けるのですが、助言はありません。状況は様々ですから、自分で考えるしかない。それが答えです。
自分の上司が、商売でも何でも間違って判断して失敗する。そうすると下にいる子分たちが痛手を負います。そうならないように、たとえばですが、「部長、それは△△ではなく、◯◯された方がいいのではないですか」などと言うと、部長はもちろん「西、このやろう、まだ入って5年目なのに態度が大きいぞ。まだ係長にもなっていないだろう、このやろう」と完全にバカにされ、皆さんから嫌われます。
でも、だからといって会社を辞めるわけにはいきませんよね。しかも、ここに男女間の差別が入ると、状況はさらに酷い。皆さんであれば容易に想像できるでしょう。
部下との接し方
私たちが感じるストレスで最悪なものは対人関係に関するものです。中でも、悪い上司をもったら本当に最悪です。私も1人、悪い上司を体験しましたのでよく分かっております。けれど、何もできませんでした。
それでもなお、少しずつ昇進して、立場が上になっていくわけですが、皆さん、部下ができたらこれだけは忘れぬよう。私もアメリカである人から教えられたのですが、「部下を褒める時に、みんなの前で褒めなさい。叱る時には建物の裏に呼んで、1人で叱りなさい」ということです。
ドジった男をみんなの前で叱ると、もう叱っているのではなく、侮辱しているのです。恥をかかせているのです。私はそれに気が付きました。「うわぁ、これは一生忘れないぞ」と思いました。人前で褒めると、個人で褒められるより100倍嬉しいものでしょう。
悪い上司や部長を持ったら、もう我慢することしかありません。我慢の限界を超えたら、ちょっと裏に連れて行って殴るしかありません。もちろん、そんなこと出来ないのはわかっています。でも、対人関係や出来の悪い上司との関係というのはそれほど苦しく、難しいものなのです。ですから明確な助言はありませんが、皆さんが部下を持った時にどうするか、というのがとても大切だと思われます。
政治不信
国のリーダーが間違った場合はクーデターが起きています。皆さん、明治維新がいい例ですが、それだけではありません。日本では昔から百姓一揆が起きています。日本の各地には百姓一揆にまつわる歴史的農民たちがたくさんいらっしゃるでしょう。
ところが現在の私たちには「清らかな一票」しかないわけです。それも選挙期間が短くて、立候補者名も覚えられません。政策の中身もわかりません。肌感覚で感じている重要な問題が争点になりません。日本の政治がどれだけ腐敗しているか、わかるでしょう。裏金の話だけではありませんよ。
ですから皆さん、多くの人が選挙になんて行かなくなってしまいました。100人のうち20人か30人が投票したら、それで100人の代表ということになっています。投票権を持っている人たちが投票しないから悪いのではなく、「自分たちが投票に値しないほど悪い」とは考えないのでしょう。
西鋭夫のフーヴァーレポート
国際政治とリーダーシップ(2020年1月下旬号)-10
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。