イラン対イスラエル

by 西 鋭夫 October 12th, 2023

大戦の発火点

アジアでドタバタやっていますけれど、もっと怖いのは中東のイランとイスラエルの喧嘩です。トランプ氏はこの間、イランと話をする可能性はあると言っていましたけれど、アメリカの実情はと言いますと、もうイスラエルべったりです。離しませんよ。イスラエルは「私の大切なお友達」という感じです。

イスラエルはイランが怖くて仕方がないのです。というのは、イランはもう国の方針としてイスラエルを地図から消すと言っているのです。イスラエルは今のうちに、すなわちイランが原爆や水爆を持つ前に、先手を打って攻撃したいと考えております。

しかしこれは私の憶測ですが、イランはすでに原爆もそれを搭載できるミサイルも持っていますよ。なぜか。それは北朝鮮とイランの密接な関係があるからです。イランが原油でもって稼いだお金を北朝鮮へとジャージャーと入れています。「ミサイルが成功したら私にちょうだいね」「分かりました」で握手です。だからもう持っているとみてよいでしょう。イランとイスラエルが対峙し、さらにそこにサウジアラビアといった国が関わっていくと、極めて重大な戦争に発展するでしょう。

 

極東

私たち日本は絶対に戦争を仕掛けません。仕掛ける道具もありません。自衛隊はありますが、自衛隊の方々は本物の戦争で殺されていないし、殺してもいないのです。そうすると今は、アメリカが出てきたときに自衛隊がついていく、という形になっております。以前、日本政府のお偉い先生方とお話をしたことがありますが、日本単独では何もできないようです。アメリカから、こうせよ、ああせよ、と言われて初めて動けるようになるようです。これが日本の現実です。

しかし、アメリカが本当に動き、日本がそれに従って動いたら、ロシアも中国もじっとしていませんよ。そうするとフィリピン、台湾、ベトナムなども関わってきますから、おさまらなくなっていきます。ですから、極東でいわゆる日本や韓国、さらにはアメリカが仕掛ける戦争は起こらないとみてよいでしょう。

 

自衛隊の装備

しかしこの緊迫した国際情勢の中で、日本はいかに自分たちを守るのか。この点についてはより真摯な議論が必要です。一つの重要なポイントは、自衛隊の装備や自衛隊のあり方に関するものです。これを聞いている会員の方から「自衛隊は現在の艦隊や航空機主体の装備からミサイル中心の装備に変更するべきです。北朝鮮のようにミサイルを大量に保有した方が、より安価で効果的な抑止が行えると思います」、との意見を頂きましたが、私も賛成です。

皆さん、今はもう軍艦を作っているときではないのです。ミサイル一発で簡単に撃沈されますよ。戦艦を作るのだったら航空母艦ではなく、潜水艦を作るべきです。これも何度も言っていますが、日本の潜水艦技術は世界一です。500メートルぐらいの巨大な潜水艦を5~6隻作って潜らせていれば、誰も攻撃しません。もちろんそれにミサイルを積んでおかなければいけません。

海に浮かんでいる戦艦など、もう今の技術ではほとんど使い物にならないかもしれません。見た目は良いですけれど、一瞬で終わりです。最新鋭の戦闘機は違うのかもしれませんが、古い戦闘機はほぼ終わりの世界です。これからの時代は、海の中をいかに制するか、さらには宇宙やサイバー空間をどう制御するかが、戦局を大きく左右していくことになります。

 

西鋭夫のフーヴァーレポート
第三次世界大戦の予兆(2019年6月上旬号)-5

 

 

この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。