グリーン・ラッシュ

by 西 鋭夫 August 24th, 2023

マリファナ・ビジネスの誕生

大麻は世界を席巻する巨大なビジネスになるかもしれません。そのうねりはすでに始まっております。オランダに行けば問題ないなど、そんな世界ではありません。この一大勢力となっているのがカリフォルニア州です。

カリフォルニアでは今、「ゴールド・ラッシュ」(Gold Rush)になぞらえて、「グリーン・ラッシュ」(Green Rush)と呼ばれる現象が起きています。グリーンとはもちろん大麻のことです。ゴールド・ラッシュのときは、金を掘って一攫千金を狙うよりも、金を掘る工具や道具を売った方が儲かった、という逸話も残っているほどですが、グリーン・ラッシュは畑を耕して栽培するという、いわば正攻法です。

カリフォルニアでは早速、大麻の栽培が農産物のトップになりました。これまでのトップは乳製品でして、バターやチーズ、ミルク、ヨーグルトなどが有名でした。年間8,000億円ぐらいです。しかし大麻はこの額をほんの1年で突破してしまい、その売り上げは今や1兆5,000億円です。1年間で、1兆円超のビジネスになったわけです。


 

ビジネスの行方

ビジネスが生まれるということは、色々なことが起こります。税金集めも活発になります。カリフォルニアではマリファナに20%〜30%ぐらいの税がつきます。経済効果も高く、マリファナ産業はアメリカ全土で25万人ほどの雇用を生み出すとの試算もあります。これがどんどんと広がると、米国で一番の主要農産物が大麻になる日が来るかもしれません。

そうなればアメリカだけの話ではなくなります。良質のマリファナが市場を求めて世界中に輸出されるのです。医療大麻として、それから嗜好品として、マリファナ産業は世界各地で盛んになるでしょう。

ただし、アメリカでは連邦政府がマリファナを認めておりません。ゆえに現状では、州ではOKで、連邦レベルではダメ、ということになっています。

 

州の権限

しかし米国では州の権限が強いですから、連邦政府は黙認せざるを得ないのではないかと思います。米国の正式名称は、ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ(United States of America)です。これは州が一緒になってアメリカをつくりました、ということです。

それぞれの州は、今でも大きな権限を持っております。州知事の力も非常に大きい。知事のもと、州議会、州兵がそれぞれきちんと役割を果たしておりまして、州自体が1つの国のような感じです。

連邦政府のマリファナ禁止についても実は眉唾ものです。よくよく調べてみると、その決定は意外と適当だったことがわかります。大麻をヘロインやコカイン、モルヒネ、アヘンと同じようなものだと思って、精査もせずに勝手に決めてしまったのです。それが今も続いているのです。

 

西鋭夫のフーヴァーレポート
大麻ビジネス(2019年5月下旬号)-2



この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。