鯨食文化は野蛮なのか

by 西 鋭夫 June 16th, 2021

日本いじめの構図


日本の捕鯨だけが非難の的になっているように思います。その起源はそもそもどこにあるのか。

鯨は絶滅危惧種で、地球の生態系を破壊しかねない。故に、鯨の捕獲はいけない。などと言われるのなら、科学的な根拠を持って反論したり、議論したりすることができる。さらには、全世界で獲りすぎないように皆さんで協力していきましょう、と言えるかもしれません。

しかし、鯨を食べることは「野蛮」「文化的に悪い」と批判されているわけです。これは明らかな偏見であり、差別ではないか。


欧米列強の傲慢


日本いじめの背景には、欧米列強による傲慢さがあります。それは自分の失態を、第二次世界大戦の敗戦国であった日本に対して擦りつけるようなものであったと思います。

鯨の数が減った理由は明確です。それは、欧米諸国による乱獲です。まずは大西洋で捕鯨を行い、鯨がいなくなったので、次は太平洋に来て、またそこで獲りまくった。ところが、石炭や石油が使えるようになると鯨への興味を失った。


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その一方で、日本は興味がなくなるどころか、生活がかかっていましたから、捕鯨を続けていた。しかし、その量は桁が全く違います。乱獲していた欧米諸国に比べ圧倒的に少ない。


鯨がダメな理由とは


欧米諸国が捕鯨を止め、日本や一部の北欧諸国などが捕鯨を続けていたとき、鯨の数はすでに大きく減っていました。

マスメディアや動物保護団体などは、鯨の減少を大きな問題として伝えるのと同時に、いかに捕鯨国の捕鯨の仕方が残忍かを伝え始めました。モリで鯨を刺し、血が流れる映像がインターネットに溢れております。世界的にも多くの反捕鯨団体や組織が生まれました。The Coveによって、日本の捕鯨のあり方はひどく喧伝され、世界に広まりました。

しかし皆さん、牛さんや豚さん、鳥さんたちも、屠殺場で血を流しております。どうして鯨だけがこうしてクローズアップされるのでしょうか。鯨をめぐる差別、偏見の根底には何があるのでしょうか。



西鋭夫のフーヴァーレポート

2016年5月上旬号「捕鯨外交」-6




この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。