日本のエネルギー政策の行方

by 西 鋭夫 May 24th, 2021

石油産業の復活


日本の電力は水力、火力、原子力が主流です。原子力の代替エネルギーには、太陽光発電や地熱発電、水素燃料、バイオマス、メタンハイドレート、シェールガスなどが挙げられます。

その一方で原油は、輸入に頼らざるを得ないことや、有限であることなどから、将来の有望な選択肢から外されております。しかし、原油やその石油産業を見直すということもあって良いように思います。たとえば、輸入に頼らざるを得ないのは本当ですが、石油を効率的に使う技術で日本は世界一です。

また、「石油は有限で、近いうちに枯渇する」とも言われていますが、これは眉唾もので、その気配はありません。実際、今から約30年から40年ほど前に、「石油はもうなくなる」ということで大問題になりましたが、それから30〜40年間、私たちは石油をじゃぶじゃぶ使っております。

アメリカ大陸の地下にも大量の石油が眠っています。アメリカはそれを保存しておきたいのでしょう。石油は海底にも眠っております。石油はなかなか無くならない。


水素エネルギー


日本にはまた非常に優れた技術があります。それは、水を分解して、純粋な酸素と純粋な水素に分け、その水素を燃料にするという技術です。水素のエネルギー量は、石油どころではありません。私は見たことありますが、これはすごい。

現在、太陽光発電や風力発電などの開発に使っているお金の半分でも、水素エネルギーの開発に回すことができれば、日本のエネルギー問題はたちまち解決するでしょう。車も水素で走れます。水素は大気汚染にもなりません。水素を燃やすため酸素が使われますが、水素と酸素が交わると真水になって、後ろのパイプから出てくるだけです。

すでに12、3年ほど前になりますが、三菱自動車とベンツが一緒になって、水素で走る車を開発することになりました。ところが3年ほど前に、急にその動きが止まりました。不思議です。おそらく石油業界、原発業界からの圧力でしょう。


ロシア


日本のエネルギー戦略を現実的に考えていく上で、ロシアのことを見過ごすことはできません。ロシアは、地政学的にも、日本にとって最大の親日国、パートナー国になる可能性を秘めています。


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ウラジオストックから、シベリアまで含め、ロシアはまだその地域の開発を行なっておりません。資金がないのです。ここをロシアと共同で開発してはどうか。北方領土問題ばかりに目がいっていますが、この地の開発は両者にとって大きな利益をもたらすのではないでしょうか。地下資源もたくさん眠っているでしょう。

ロシアのプーチン大統領と安倍総理は仲が良い。テレビに映し出された二人を見ただけでも違います。安倍総理の表情は、韓国や中国を訪問したときの表情と明らかに違う。二人の関係が良好で、ウマが合ううちに、共同での経済開発を約束して欲しい。私はそう願っています。




西鋭夫のフーヴァーレポート

2016年3月上旬号「忘れ去られた福島」− 9




この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。