From: 岡崎 匡史
研究室より
私が子どもの頃と比べて、手紙を出すことは少なくなりました。
E-mailやSNSで簡単に連絡をとることができますし、郵送代もメールならほとんどタダのようなものです。
アメリカで生活していて、手紙を出すのは、1ヶ月の間に1回あるかないか。公共料金の支払いに「小切手」を郵送することがありますが、ほとんど口座振替で対応できます。
ひさしぶりに、手紙を出す機会があり、アパートの敷地に設置してある郵便ポストに行くと、張り紙がはってあった。
なんと、郵便ポストが1ヶ月後に撤去される通知だった、、、
郵便改革
日本でも小泉内閣下で「郵政民営化」が行われました。はたして、成功したのか、それとも失敗したのか。未だに評価は分かれている。
アメリカにも「郵政公社」(United States Postal Service・USPS)があります。「UPS」「DHL」「Fedex」などの民間宅配会社もありますが、「USPS」がアメリカ人にとって一番馴染みがある。
しかし、「USPS」は赤字を抱えており、トランプ大統領から槍玉に挙がられている。トランプは、郵政公社に対する追加の補助金を拒否。「USPS」は経費削減のために、サービスを縮小せざるを得ない状況です。
大統領選挙
「USPS」が赤字を抱えているとはいえ、冷静になって考えてみると、なぜ、この時期に郵便ポストが撤去されるのか。私のアパートの郵便ポストだけでなく、全米で撤去の動きが加速している。なにか、おかしい。大統領選挙との関係を勘ぐらずにはおられません。
今回の大統領選挙戦は、郵便投票です。投票するため、家の近くのポストに出むいてみたら、ポストがない。ここで初めて、ポストが撤去されたことに気づく。普段、メールやSNSで連絡することに慣れきっているので、ポストが撤去されていることに気がつかない。
郵便投票のために、わざわざ何キロも離れた、ときには数十キロも離れたポストを探さなければならない。自動車を保有していなかったら、とても面倒なことです。まして、コロナ禍ですから、外出したくない。貧困層にとって、郵便ポストの廃止は、投票の機会を失う恐れがある。
アメリカの「郵政改革」、少なくともポスト撤去は、トランプ大統領再選に有利に働くことでしょう。そのため、民主党は郵便局の機能を死守する形になる。大統領選挙の争いは「郵便改革」にまで飛び火して、熱い戦いが繰り広げられている。
ー岡崎 匡史
この記事の著者
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。