教育の脱中央集権化

by 西 鋭夫 June 8th, 2020

「量」が重視される世界


教育は「質」を言う前に、「量」が大切です。私も時々、「どの単語を覚えればTOEICやTOFELで高い点が取れるでしょうか」と訊かれますが、それはあたかもTOEICやTOFELに出る単語が決まっているかのようです。

出る単語など決まっておりません。そんなことでは英語が重視される世界で生きていくことはできません。求められるのは、丸暗記です。丸暗記していたら、そんなことを考えなくてもいいのです。

丸暗記には時間がかかります。つまりは「量」をこなさなくてはならない。私がイエローカードを2枚ももらいつつ、アメリカで生き残ったのは、論文を書くときに、単語をたくさん知っていたからです。論文を書くときに、同じ単語を使いませんでした。これで助かりました。


若い頭脳に留学を


できるだけ早く、子供に留学をさせて下さい。向こうの高校を出たら、日本の子たちは、必ずアメリカの名門大学に入ります。もう間違いなく、例外なしです。

というのも、日本の子はもともと勉強が好きで、それほどに優秀なのです。日本で生まれると、学問が大好きな子に育ちます。出来なかったら恥ずかしいと思いますから。アメリカでは、出来なくとも絶対に恥ずかしいと思っていません。日本の子は、それを意識しているか否かは別にして、学問の美学で育っているのです。だから早く英語圏に送りなさい。


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様々な留学先がありますけれども、日本を牛耳っているのはアメリカです。ですから、「アメリカ帝国」に行って、アメリカ帝国を丸ごと英語で体験してくるべきです。これが出来れば、アメリカに対して一歩も引かない、強い日本のリーダーが出てくるでしょう。それは非常に大切です。


教育自由化の重要性


もう一つ大切なことは、中央集権的な教育を早急に止めることです。つまりは教育の自由化です。日本の大学を出ていなくても、何も恥ずかしいことはありません。日本の高校を中退したというのも、私は素晴らしいと思います。

私が良く聞かれるのは、「西先生、ちゃんと卒業して、ちゃんと・・・」です。この、「ちゃんと」という言葉は、日本の語彙から外したほうが良いのではないでしょうか。「ちゃんと」というと、ほとんど言いわけの世界になります。「ちゃんと」というのは、中央政府の言う通りにしなさい、ということです。

アメリカは、「ちゃんと」やらないことばかりです。そのアメリカに牛耳られて「ちゃんと」やる日本は、何も間違っていないと、果たして言えるのでしょうか。読み方を間違ったのでしょうか。私も子供を日本の幼稚園と小学校に入れましたが、中学校からはスタンフォード大学近くの中学校と高校に行かせました。日本にもよく帰ってきていましたので、日本語も英語も出来るバイリンガルです。

教育は国家百年の大計です。教育を間違えると、国家が潰れます。今現在は、終戦後から約70年が経ちましたから、あと30年も残っておりません。国家に頼るよりも、自分たちで亡命して、大事なご子息・ご息女を留学に行かせましょう。そんな子どもたちが、世界で使える人才になります。世界がまさに、自分の中庭になりますから。



西鋭夫のフーヴァーレポート

2015年8月下旬号「大学ランキング」− 17




この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。