スタンフォード大で学ぶトップ・アスリート

by 西 鋭夫 May 4th, 2020

頭の鍛え方


日本の小中高の理科・算数・数学・国語・文章読解は、世界で毎年トップ5に入っています。それなのに、大学に入ったらダメになってしまう。

私の子供はもちろん日本とアメリカの両方の学校に通いましたけれど、アメリカの小中高の違いは、6歳・7歳の1年生のときから、クラスで発表です。日本でいうプレゼンです。それも自分で書いたもの、自分でポスターなんかもつくってです。うちの息子はUFOについてやっていました。

UFOです。私はもう完璧に信じていますから(笑)。それについてプレゼンしました。一番大切なのは、親は手伝わないでくださいと言われることです。手伝ったら、すぐにわかります。自分で一生懸命に絵を描いて、表をつくって、それでプレゼンします。これを、ずっと大学を卒業するまでやらせます。だから大学のクラスの中で質問をしない、先生に問われたときに答えないというのは、もう落第の可能性があります。

私はアメリカの大学院に行っていましたが、先生が一言を言われたら、ほかにいた5~6人の大学院生は取り合うように話していました。私はもちろん英語がわかりませんので沈黙していましたら、あっという間に時間が過ぎて、それがしばらく続いたらイエローカードを出されました。

「おまえは退学」ということです。危なかったです。質問されているのもわからなかった。あのときにスピードラーニングとかNOVAの駅前行留学があったら少しはわかっていたのでしょうか。おそらく、わからなかったでしょう。


米国の大学に入る方法


日本は悪名高きマークシートの入試です。アメリカは高等学校が4年間で、中学校が2年間です。アメリカの大学に願書を出しますと、高校4年間の成績を出しなさいというのがまず一つ。もう一つは、この大学に来て何をしたいかを、A4のシングルスペースで2枚ほどに自分の考えを書いて出しなさいというものです。あとは、高校の先生の推薦状が必要です。


それから、毎年2~3回全米で一般教養の試験がありますが、その点数も出しなさい。これは高い順から出していけます。例えばスタンフォードをとりますと、この標準試験で満点をとった子しか入れません。高校の成績が4点満点で4点か3.9点の子しか入れません。ただスタンフォードもほかの大学も、成績のいい子だけを集めるのではないのです。


世界レベルのプレイヤー


例えばスポーツ入学があります。日本の大学の野球のような世界じゃないです。全米の大学で例外なく、スポーツ入学があります。スタンフォードで有名なスポーツ選手はいっぱいおります。たとえば、日本でよく知られているゴルフのタイガー・ウッズです。最近は奥さんに離婚されて、ちょっと調子が悪いですけれど。もちろん成績もいいから入れたんですけれど、タイガー・ウッズがスタンフォードに入って3年生のときに、マネジャーに踊らされて学校をやめてプロに転向します。


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もちろん、偉大なる成績をおさめるのですが、5~6年たって大金持ちになったときに、コマーシャルにたくさん出演しました。その後、「何で俺はスタンフォード大学を辞めたのだろう、ばかなことをした」と言って、大学に帰り、総長に対して「僕は3年生からもう一回やりたいです」と言いました。総長は「ふざけるな。自分でやめたんだから戻れない」と言いました。

そのくらい高いレベルでスポーツができると、筆記試験は満点じゃなくても、加点されるのです。前のオリンピックの水泳で女子のアメリカチームは、ほぼ全員がスタンフォードの水泳の女子でした。彼女たちも、もちろん優秀です。アメフトもそう、野球もそう、バレーボールもテニスもそうです。だから勉強ができて、スポーツができる学生は、高等学校4年のときに皆、集中します。リクルーターが出てくるからです。声をかけられた学生には奨学金がつきます。



西鋭夫のフーヴァーレポート

2015年8月下旬号「大学ランキング」− 7




この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。