ゲージ論争

by 岡崎匡史 October 12th, 2019

blog128.jpgFrom: 岡崎 匡史
研究室より

1830年、産業革命の発祥地イギリスで「リバプール・マンチェスター鉄道」が開業した。それからほぼ40年後に、日本で鉄道が走った。

明治日本は、イギリスを模範として国創りをした。鉄道は、経済発展に欠かせない。効率的な鉄道網があれば、兵士や物資をすぐに動員することができる。

しかし、日本とイギリスの列車では異なる点がある。それは、「ゲージ」(レールの幅)が違っていたことだ。

イギリスのゲージは「4フィート8インチ半」(1435ミリ)。その一方で、日本は「3フィート6インチ」(1067ミリ)。日本のゲージは、イギリスより狭かった。

お雇い外国人

なぜ、日本の鉄道のゲージは、イギリスより狭いのか?

明治政府は、お雇い外国人エドモンド・モレル(Edmund Morel・1840〜1871)の進言に従って、「3フィート6インチ」(1067ミリ)を採用。モレルはイギリス人の鉄道技師。


植民地や経済発展の遅れている地域では、狭いゲージが適していた。なぜなら、敷設コストが安く、鉄道を延長するメリットがあるからだ。

イギリスからみれば、日本は「植民地鉄道」にあたる。母国イギリスと日本のゲージが同じである必要がない。

時間意識 

鉄道が導入されたことで、日本社会も様変わりした。たとえば、日本人の時間意識が変化した。江戸時代の時間の最小単位は「小半時」(こはんとき・30分)であった。

しかし、電車を規則正しく動かすために「分」を意識するようになり、時間厳守・時間管理が必要不可欠になる。

電車は身近な交通手段。満員電車にゆられながら、鉄道の歴史を学んで見ると大きな発見があるはず。

ー岡崎 匡史

PS. 以下の文献を参考にしました。
・老川慶喜『日本鉄道史ー幕末・明治編』(中公新書、2014年)

この記事の著者

岡崎匡史

岡崎匡史

日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。

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岡崎匡史

岡崎匡史

日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。